研究課題/領域番号 |
09470169
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
下川 宏明 九州大学, 医学部, 助教授 (00235681)
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研究分担者 |
佐藤 真司 九州大学, 医学部, 助手 (60274445)
大原 郁一 九州大学, 医学部, 助手 (90185364)
毛利 正博 九州大学, 医学部, 助手 (60264032)
丸山 征郎 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20082282)
居石 克夫 九州大学, 医学部, 教授 (70108710)
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キーワード | 炎症性サイトカイン / 虚血性心疾患 / 動脈硬化 / マクロファージ / 血管外膜 / Rho-kinase |
研究概要 |
1. 我々はこれまで、サイトカインを中心とする炎症性刺激が冠動脈特にその外膜に慢性に作用した場合、同部に内請肥厚・血管リモデリング(血管断面積の減少)・攣縮性反応を特徴とする冠動脈硬化病変が惹起されることを明らかにした。このモデルでは、冠動脈外膜に多数の炎症細胞(特にマクロファージ)の浸潤を認めている。そこで、一連の研究により、この外膜由来マクロファージの動脈硬化病変形成に関する意義について検討した。 2. ブタ冠動脈外膜に、マクロファージの浸潤・遊走を促進する目的でマイクロビーズに固相化したmacrophage chemoattractant protein-1(MCP-1)を慢性に作用させた。また、出現したマクロファージを活性化する目的でヒトより調整した酸化LDL(Ox-LDL)または対照としてnative LDLを同時投与した部位を作成した。冠動脈病変の形成は手術後2週間目に評価した。 3. MCP-1単独投与部位では、内膜肥厚・血管リモデリング・攣縮性反応を伴う冠動脈硬化病変が惹起され、その程度はOx-LDL同時投与部位で増強され、native LDL投与部位では不変であった。 4・ マクロファージ染色を施行したところ、外膜に出現したマクロファージはその後内膜方向へ経時的に遊走してゆき、一部の例では内弾性板直上の内膜部分に脂肪染色陽性の泡沫化病変を形成した。このマクロファージの遊走には内因性のMCP-1の発現が関与していることが示唆された。 5. 上記のマクロファージの外膜での出現・内膜方向への遊走・病変形成は、全て、Rho-kinaseの選択的阻害薬であるhydroxyfasudilの長期同時投与により著明に抑制されたところから、これらの現象にRho-kinaseが深く関与していることが示唆された。
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