研究概要 |
これまで、心Fabry病家系内の酵素活性や心臓所見については明らかにされていなかった。そこで、遺伝子異常が異なる心Fabry病3家系について、家系内の患者を遺伝子解析で診断し、その酵素活性と心臓所見について検討した。方法)対象は心Fabry病3家系の男性9名、女性9名の計18名であり、α-galactosidase遺伝子の直接塩基配列決定による遺伝子診断と血漿α-galactosidase活性測定を行った。遺伝子解析で診断されたhemizygote 5名とheterozygote 6名中5名に対して、心エコー図検査を行い、左室肥大の有無を調べた。結果)遺伝子診断にて5名のhemizygoteと6名のheterozygoteが診断された。家系1:exon6にMet296Ileの点変異が同定された。家系2:exon2にGlu66Glnの点変異が同定された。家系3:exon1にAla20Proの点変異を同定された。酵素活性は家系1:血漿α-galactosidase活性は、hemizygoteが0.6 nmoles/hr/ml(正常平均値の7%)と低下していた。heterozygoteの3名は33〜36%と低値だった。正常だった残りの6名の酵素活性は正常であった。家系2:2名のhemizygoteは31,35%と低値だった。しかし、heterozygoteである3名の娘は酵素活性が正常であった。家系3:2名のhemizygoteは5〜8%と低値だった。5名のhemizygote全員に左室肥大を認めた。5名のheterozygoteでは左室肥大は認めなかった。結論)心Fabry病では遺伝子異常の違いにより酵素活性が異なる。Hemizygoteでは左室肥大を認めたがheterozygoteでは認めなかった。心Fabry病家系はX-linked Hypertrophic Cardiomyopathyを呈する言える。
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