研究課題/領域番号 |
09470181
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 伸太郎 大阪大学, 医学部, 教授 (30028609)
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研究分担者 |
谷池 雅子 大阪大学, 医学部, 助手 (30263289)
西垣 敏紀 大阪大学, 医学部, 助手 (20283749)
乾 幸治 大阪大学, 医学部, 助教授 (90175208)
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キーワード | クラッベ病 / twitcherマウス / 遺伝子治療 / レトロウイルス |
研究概要 |
クラッペ病のモデルマウスtwitcherは、リソソーム酵素ガラクトセレプロシダーゼ(GALC)の欠損により、中枢神経及び末梢神経の脱髄を来たし生後40日前後までに全部例が死亡する。本年度は、生体に対する遺伝子治療の試みとして、ドナー(twi/twi)から採取した骨髄細胞にex vivoで遺伝子導入を行った後、生後2日目のレシピエント(twi/twi)に移植するという方法で、遺伝子治療の可能性を検討した。 レトロウイルス産生細胞ψCRIP-GA35の培養液を骨髄幹細胞用無血清培地StemPro^<TM>-34に交換したのち、24時間後に回収してウイルス上清とした。 日齢20〜35日のドナー(twi/twi)10数匹に対して5-FU(150mg/kg)の腹腔内注射にて前処置を行い、5日後に大腿骨、脛骨より骨髄単核細胞を回収分離した。これを、SCF,IL-6を添加した無血清培地StemPro^<TM>-34にて48時間刺激した後、上記のウイルス上清(SCF,IL-6添加)に懸濁し、予めフィブロネクチン・フラグメントCH-296によってコーティング処理を施したディッシュ上に移し、さらに3日間培養した。レシピエントとしては出生2日前及び1日前の2回、母体に対してBusulfan(15mg/kg/dose)を皮下することで骨髄抑制し、得られた新生仔の中からPCR法でホモ接合体(twi/twi)と診断されたもの(生後2日目、雌)を用いた。これに対し、骨髄移植群:同系正常マウスから採取した骨髄細胞(+/+)、遺伝子治療群:上記方法にてヒトGALCcDNAを導入した骨髄細胞(twi/twi)、を調整し、それぞれをレシピエントの腹腔内に注射して、移植後の経過を非治療群と比較した。 骨髄移植群では非治療群と比較して10日間以上の延命効果を認め、Busulfanによる出生前の母体を通しての前処置でも骨髄移植が可能なことが示された。遺伝子治療群では、今回、有意な寿命延長を認めるには至らなかった。しかし、移植後6週のレシピエントの主要な罹患臓器である座骨神経にPCR法でprovirusの存在が確認された。また座骨神経におけるGALC活性は0.48nmol/h-mgで、骨髄移植群(0.77)と非治療群(0.36)のほぼ中間値を示した。
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