研究課題/領域番号 |
09470186
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
前川 喜平 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 教授 (80056613)
|
研究分担者 |
大橋 十也 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 講師 (60160595)
川目 裕 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 助手 (60246395)
井田 博幸 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 講師 (90167255)
松島 宏 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 助教授 (70190460)
衛藤 義勝 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科, 教授 (50056909)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
キーワード | リソゾーム病 / 遺伝子治療 / 臨床表現型 / 中枢神経 / Gene mutation / Animal model |
研究概要 |
グルコセレブロシダーゼ遺伝子異常で発症する47例の日本人ゴーシェ病の遺伝子変異をPCR法とSSCP法で同定したところ約85%の遺伝子変異が同定できたが、神経型と非神経型とを遺伝子型で鑑別することは不可能であった。また、日本人ゴーシェ病35例の臨床症状を検討し欧米人に比較し重症度が高いことを明らかにした。急性神経型ゴーシェ病の酵素補充療法の効果を病理学的に検討するとともに、水頭症、心弁膜症などの特異な臨床症状を呈する神経型ゴーシェ病の遺伝子変異解析をおこなった。アリルスファターゼA欠損によって発症する異染性白質変性症の日本人症例11例の遺伝子変異分布を解析し、G99D変異が日本人に多く認められることを明かにするとともに2つの新しい遺伝子変異を同定した。さらにムコ多糖体異常症のうち中枢神経症状を呈するスライ病(グルクロニダーゼ欠損症)の動物モデルを用いて遺伝子治療の中枢神経症状の治療の可能性を検討した。グルクロニダーゼ遺伝子をアデノウイルスベクターを用いて経静脈的に導入したところ肝、脾での酵素活性の上昇を認めたが脳においては酵素活性の上昇は認められなかった。そこで、側脳室内への直接導入法を試みたところ脳の酵素活性は正常の30%まで上昇した。酵素は上衣細胞と脈絡叢に主に認められたが、一部は脳の間質にも発現していた。また、スライ病の動物モデルに対してレトロウイルスベクターにグルクロニダーゼを組み込み、ヒト臍帯血より分離、精製した造血幹細胞(CD34陽性細胞)を標的臓器として遺伝子治療を試みた。導入効率はCFU-GMで平均66.8%、LTCIC(long-term culture initiating cell)では20%と50%であった。グルクロニダーゼ活性は5週間正常レベルを維持していた。以上の遺伝子治療に関する基礎的実験データは遺伝性脳変性疾患における遺伝子治療の可能性を示唆するものであった。
|