研究分担者 |
内山 利満 東邦大学, 医学部, 教授
嶋武 博之 東邦大学, 医学部, 教授
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
山口 之利 東邦大学, 医学部, 講師 (30277339)
清水 教一 東邦大学, 医学部, 講師 (60256740)
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研究概要 |
1.Wilson病の遺伝子解析 Wilson病症例20例におけるATP7B遺伝子の解析を行った.その結果,日本人症例の遺伝子変異の型と頻度は欧米人のそれと明らかに異なり,本症における遺伝子異常には人種差が認められた.また,肝型症例には1塩基欠失が,神経症状を呈した症例には点突然変異が多くみられ,遺伝子変異と表現型に関連がある可能性が示唆された. 2.遺伝子解析によるWilson病の家族検索 遺伝子解析にて確定診断した8か月男児,Wilson病世界最年少例の両親・同胞(2名)に対し,同様の遺伝子解析を施行した.両親と同胞の1人が片方のalleleのみに患児と同じ変異を認め保因者と,もう1名の同胞は両方のalleleに変異を認め本症患者と診断された.遺伝子解析による家族検索は,発症前症例および保因者の発見・診断に極めて有用であると結論した. 3.ATP7Aおよび7B蛋白の細胞内銅輸送機構の解明 ヒト由来の培養細胞に対し,抗ATP7A・7B蛋白抗体を用いてこれらの蛋白の細胞内局在を検討した.ATP7A・7B蛋白は,ともにtrans-Golgi network(TGN),に認められ,銅負荷によりTGNからpost Golgi vesicular compartmentに変化した.通常TGNに存在するATP7A・7B蛋白は,細胞外より入ってきた銅と結合し輸送小胞をつくって銅を輸送するのではないかと推察した. 4.テトラチオモリブテン(TTM)の薬理学的検討 神経型Wilson病症例3例にTTMの静脈内投与を行い,その治療機序を検討した.TTM投与により血中銅値の上昇と尿中銅排泄量の著明な減少が認められ,本薬剤は,既存の銅キレート薬と明らかに異なった除銅作用を有していると推測された.
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