研究分担者 |
内山 利満 東邦大学, 医学部, 教授 (50057709)
嶋武 博之 東邦大学, 医学部, 教授 (40010110)
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
山口 之利 東邦大学, 医学部, 講師 (30277339)
清水 教一 東邦大学, 医学部, 講師 (60256740)
|
研究概要 |
1. Wilson病の遺伝子解析と臨床応用 Wilson病症例16例におけるATP7B遺伝子変異と臨床病型との関連を検討した.1塩基欠失あるいは挿入などを両alleleに有する症例は,劇症型あるいは進行の早い肝型症例であった.また,日本人に比較的多くみられるR778L変異をhomozygousに認めた症例は全て神経型症例であった.Wilson病において遺伝子変異の型は表現形を決定する重要な因子の一つであると考えられた. 2. ATP7Aおよび7Bにおける細胞内銅輸送機構の解明 ATP7A・7B蛋白の銅結合部位対する抗体を用いてATP7A・7B蛋白の銅負荷による細胞内局在の変化を検討した.培養細胞(ヒト由来)において,trans-Golgi network(TGN)に存在するATP7A・B蛋白は,銅負荷によりTGNからpost Golgi vesicular compartmentに広がっていた.また,銅を除去することにより,再びTGNに戻ることが認められた.ATP7A・7B蛋白は,細胞外より入ってきた銅と結合し,輸送小胞をつくって細胞内での銅輸送を行うと推察された. 3. テトラチオモリブテン(TTM)の臨床効果と除銅機序の検討 重症の神経型Wilson病3例に対し,TTMの静脈内投与を行い除銅機序を検討した.TTM静脈内投与により,血清洞は上昇し,尿中洞は低下した.また,胆汁中へのモリブデンの出現と,胆汁中銅排泄量の増加が認められた.この結果より,TTM投与により銅はキレートされ各臓器より血液中へ流出するが,尿中へは排泄されず,肝臓を通り胆汁中へ排泄されると考えられた.TTMは,その作用機序が既存の銅キレート薬とは異なり,また投与による銅代謝の変化も大きく,新しいWilson病治療薬として期待されると結論した.
|