研究分担者 |
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
山口 之利 東邦大学, 医学部, 講師 (30277339)
清水 教一 東邦大学, 医学部, 講師 (60256740)
内山 利満 東邦大学, 医学部, 教授 (50057709)
嶋武 博之 東邦大学, 医学部, 教授 (40010110)
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研究概要 |
1.Wilson病の遺伝子解析と臨床応用 日本人Wilson病症例23例におけるATP7B遺伝子の構造解析を行い,変異を同定・確認した.日本人に多い遺伝子変異は,2874delCが30%,R778Lが25%,そして2302insC,2662delGおよびA875Vがそれぞれ7.5%であった. 日本人症例に対する遺伝子解析および遺伝子診断は,これらの変異を先に検索することにより,効率よく行えると考えられた. 遺伝子解析にて確定診断した乳児Wilson病症例の両親・同胞(2名)に対し,遺伝子解析を施行した.両親と同胞の1人が片方のalleleのみに患児と同じ変異を認め保因者と,もう1名の同胞は両方のalleleに変異を認め本症患者と診断された.なお,これら保因者の血清セルロプラスミン値は正常であり,遺伝子解析にてのみ保因者であることが診断可能であった.乳児,幼児期早期および保因者の診断には遺伝子診断が有用であると考えられた. 2.ATP7Bにおける細胞内銅輸送機構の解明 銅負荷によるATP7B蛋白の発現・局在の変化を検討した.高濃度の銅の存在下においても,蛋白の発現量に変化はみられなかった.しかし,その局在はTGNからpost Golgi vesicular compartmentに変化していた.また,その後の銅除去により,再びTGNに戻ることが認められた.通常TGNに存在するATP7B蛋白は,銅が細胞外より入ってきたことにより,それと結合し輸送小胞をつくって銅を輸送するのではないかと推察した.
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