研究概要 |
本研究は、技術面,安全性の面でも多くの利点を供えている「培養表皮シート」を遺伝子導入標的臓器とした,新しい遺伝子治療システムの確立をめざすものである。本研究グループは、今回の基礎研究の対象症例である表皮水疱症についてすでに100例を越える症例を集積している.これらを用いて表皮水疱症患者における遺伝子変異部位の同定、対象症例の選択を行った。劣性栄養障害型においてはVII型コラーゲン遺伝子、Herlitz致死型においてはlaminin5をコードする遺伝子のうち、とくに遺伝子変異が多く知られているLAMB3遺伝子に的を絞り研究を行った。そして、PCR,Heteroduplex,direct sequencing,enzyme digestion,allele-specific oligonucleotide hybridization法などを用いて、変異部位を症例ごとに特定した。次に、正常人、ならびにHerlitz致死型先天性表皮水疱症患者から得られた小皮膚片より培養表皮細胞を樹立しSV40により不死化を試み、不活化に成功した。つぎにLAMB3遺伝子のfull lengthを作製、ベクターへの組み込んを行った。すなわちpartial LAMB3 DNAをenzyme cutting,ligationによりfull lengthにconstructし、pRc/CMV-pcDNAに組み込んだ。このようにえられたLAMB3遺伝子full lengthを、Herlitz致死型患者から得られたSV40不死化表皮培養細胞株に、ベクターを用いて組み込む基礎実験を現在進行中である。
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