1998 年度実績報告書

がんの治療に直結した核医学的手法によるヒト腫瘍の細胞増殖動態評価法の開発

研究課題

研究課題/領域番号	09470196
研究機関	東北大学
研究代表者	福田寛東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30125645)
研究分担者	阿部由直弘前大学, 医学部, 教授 (10167950) 岩田錬東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 助教授 (60143038)
キーワード	細胞増殖動態 / ポテンシャル倍加時間 / 二重標識法 / FSa-II / 放射線効果 / PET / SPECT
研究概要	1) 本年度は、マウス線維肉腫(FSa-II)のポテンシャル倍加時間(Tpot)を測定し、腫瘍の血管周囲(0-90μm)の分割照射中の増殖動態を検討した。FSa-IIを移植して直径が6-7mmになった時点で1日1回6Gy.10日間連続照射を行った。照射開始直前、5回照射24時間後、10回照射24時間後の3時点でまずマウスBrdUrdを注射し、2時間の間隔で[^3H]チミジンを投与し、1時間後に屠殺して腫瘍を摘出して組織標本を作成した。標本にBrdUrd抗体に対する免疫染色を行った後、[^3H]チミジンに対するオートラジオグラムを行った。それぞれのトレーサに対する標識指数、二重標識指数を顕微鏡下で計測することにより、Ts(s期の長さ)およびTpotを求めた。 10日間の照射期間中腫瘍の体積は一定であり、照射後2口目から増大を始めた。5回照射24時間後のTsは照射開始直前および10回照射24時間後よりも有意に短縮していた。照射開始直前と10回照射24時間後のTsの間には有意差はなかった。また5回照射24時間後のTpotは照射開始直前および10回照射24時間後よりも有意に延長していた。照射開始直前と10回照射24時間後のTpotの間には有意差はなかった。つまり分割照射1週目でTpotが延長しているにも関わらず腫瘍体積が減少しないことは、細胞周期時間の短縮と細胞喪失因子(cell loss factor)の寄与が考えられる。10回分割照射後のTpotの短縮は腫瘍細胞の再増殖と考えられる。このようにこの方法により分割照射中の腫瘍の増殖動態の変化を捉えることは臨床放射線治療に寄与すると思われる。 2) PETあるいはSPECTを用いて、インビボで腫瘍増殖動態を測定するトレーサとして[2-^<11>C]Thymidine(PET)を選択し、^<11>C-ホスゲンを原料として目的物質を合成する標識合成法の検討を行った。また、 SPECT用トレーサとして、5-[^<131>I]iodo-2'-deoxyuridineを選択し、^<123>I-標識法の検討を行った。

研究成果

(6件)

すべてその他

すべて文献書誌 (6件)

[文献書誌] Fukuda H,et al: "Pharmacokinetics of ^<10>B-boronophenylalanine in tumours,skin and blood of melanoma patients:a study of boron neutron capture therapy for malignant melanoma." Melanoma Research. 9. 1-9 (1999)
[文献書誌] Muhammad Babar Imran,et al: "Sclerosing Mediastinitis:Findings of Fluorine-18 Fluorodeoxygluclose Positron Emission Tomography." Clin Nucl Med. 24(in press). (1999)
[文献書誌] Muhammad Babar Imran,et al: "Lesion-to-background ratio in nonattention-corrected whole-body FDG PET images" J Nucl Med. 39. 1219-1223 (1998)
[文献書誌] Abe Y,et al: "A Phase II study of cisplatin,oral administration of etoposide,OK-432 and radiation therapy for inoperable stage III non-small cell lung cancer." Int J Clin Oncol. 3. 365-369 (1998)
[文献書誌] 福田寛他: "PETによる放射線感受性予測" 癌の放射線治療. 154-161 (1998)
[文献書誌] 阿部由直他: "放射線治療における4(5)R" 癌の放射線治療. 179-189 (1998)

1998 年度 実績報告書

がんの治療に直結した核医学的手法によるヒト腫瘍の細胞増殖動態評価法の開発

研究代表者

福田 寛 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30125645)

研究成果

[文献書誌] Fukuda H,et al: "Pharmacokinetics of ^<10>B-boronophenylalanine in tumours,skin and blood of melanoma patients:a study of boron neutron capture therapy for malignant melanoma." Melanoma Research. 9. 1-9 (1999)

[文献書誌] Muhammad Babar Imran,et al: "Sclerosing Mediastinitis:Findings of Fluorine-18 Fluorodeoxygluclose Positron Emission Tomography." Clin Nucl Med. 24(in press). (1999)

[文献書誌] Muhammad Babar Imran,et al: "Lesion-to-background ratio in nonattention-corrected whole-body FDG PET images" J Nucl Med. 39. 1219-1223 (1998)

[文献書誌] Abe Y,et al: "A Phase II study of cisplatin,oral administration of etoposide,OK-432 and radiation therapy for inoperable stage III non-small cell lung cancer." Int J Clin Oncol. 3. 365-369 (1998)

[文献書誌] 福田 寛 他: "PETによる放射線感受性予測" 癌の放射線治療. 154-161 (1998)

[文献書誌] 阿部由直 他: "放射線治療における4(5)R" 癌の放射線治療. 179-189 (1998)

1998 年度実績報告書

福田寛東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30125645)

[文献書誌] 福田寛他: "PETによる放射線感受性予測" 癌の放射線治療. 154-161 (1998)

[文献書誌] 阿部由直他: "放射線治療における4(5)R" 癌の放射線治療. 179-189 (1998)