研究課題/領域番号 |
09470196
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福田 寛 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30125645)
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研究分担者 |
岩田 錬 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60143038)
赤井沢 隆 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (60302220)
窪田 和雄 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (40161674)
阿部 由直 弘前大学, 医学部, 教授 (10167950)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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キーワード | 腫瘍 / 細胞増殖動態 / DNA合成 / ポジトロンCT / フルオロチミジン |
研究概要 |
本研究ではまず、二重標識法を用いた動物腫瘍組織内のポテンシャル倍加時間(Tpot)測定を改良した。この方法を用いて、放射線照射後の細胞増殖動態の不均一性、すなわち一部の集団で加速増殖が起こっていることを明らかにした。これらの情報は、癌の放射線治療を行う上で極めて重要な情報となる。しかし、ヒト腫瘍でTpotの測定は二重標識が必要なことから極めて困難で、今後の課題である。 細胞増殖能画像化のためのトレーサとして検討した各種ヨード標識ウリジン、^<11>C-標識チミジンは、それぞれ脱ヨード反応、生体中での代謝があり、DNA合成能を定量することは困難である。一方、^<18>F-3′-デオキシ-3′-フルオロチミジン([^<18>F]FLT)は生体中で代謝されず、増殖の盛んな組織にトラップされることが報告されており、本研究の目的に最も適した化合物と判断した。そこで[^<18>F]FLTの標識合成法の確立と臨床応用開始のための検討を行った。 [^<18>F]フッ素イオンを含む水溶液に「K.222/K+」のアセトニトリル溶液を加え、これに原料の前駆基質を加えて100℃,15分間反応させた。次に、硝酸セシウムアンモニウムによる脱保護基反応を行った後、小さいカラムを通して反応物を精製し、最後にHPLCカラムに注入して[^<18>F]FLT分画を収集した。全合成時間は100分、放射化学的収率は6〜8%、比放射能は1Ci/mmole以上であった。得られた収率は文献値13%と比べて低かったが、再現性良く、放射化学的に純度の高い[^<18>F]FLTを合成することに成功した。これをラットに投与したところ、増殖の盛んな骨髄に高い集積を示し、予想どおりの結果が得られた。被曝線量、および急性毒性のデータについては米国の先行研究グループから入手することにより、臨床応用開始のための準備を完了した。しかし、今回行ったのは手動による合成であり、本格的な臨床応用を開始するためには本標識合成法の自動化と自動合成装置の開発を行う必要がある。今後別途予算を獲得して行う予定である。 一方、腫瘍の増殖に大きく関わる腫瘍血管新生に着目し、次世代の腫瘍診断薬としてチュブリン重合阻害剤とプロテアーゼ阻害剤をベースにした、全く新しい^<18>F-標識腫瘍イメージング剤の開発を行っている。
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