研究課題/領域番号 |
09470201
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
|
研究分担者 |
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (20273534)
木梨 友子 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (80252534)
高垣 政雄 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (70252533)
増永 慎一郎 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (80238914)
|
キーワード | 熱中性子 / 熱外中性子 / RBE / BSH / BPA / エレクトロポレーション / HPRT-突然変異 |
研究概要 |
(1)熱中性子、熱外・高速中性子のRBEを腫瘍細胞(SCCVII)の生存率曲線の直線部分の比でみると、どちらのビームも約2.0の値を示した。10%生存率で比べると4-5の値となった。熱中性子線照射の細胞生存率曲線には肩がなかったが、熱外・高速中性子線のそれには小さいながらも肩が認められた。(2)水ファントム中の生物効果の深度分布から、腫瘍硼素濃度を30ppm、正常組織のそれを10ppmと仮定した場合、熱外・高速中性子ビームを照射した場合の治療可能深度は6.5cmと推定された。(3)BSHを含む倍地に細胞を浮遊させ、エレクトロポレーションを行うと、洗浄してもBNCT効果(殺細胞効果)は低下せず、10ppm(B-10)では硼酸の等濃度における未洗浄でのBNCT効果に等しかった。BSHは細胞との単純な接触では極めて不十分な細胞内集積しか示さないが、エレクトロポレーションによって効果的なレベルの細胞内集積が得られることが判った。(4)肝細胞に対する熱中性子および硼素中性子捕捉療法(BNCT)の効果をマイクロヌクレウス法で調べた。熱中性子のRBEは1.65、BPAおよびBSHのCBEは各々5.98,2.27であった。この硼素化合物による効果の相違は硼素化合物の細胞内局在の相違の反映と考えられる。(5)熱中性子によるHPRT-突然変異頻度はγ線の2.5倍、硼素濃度10-20ppmの範囲では、4.2-4.5倍であった。(6)温熱のBNCT効果に及ぼす影響をみると、温熱増感率は硼素濃度の上昇(0-30ppm)と共に減少(2.65-1.0)した。(7)改造後設備の熱・熱外・高速中性子のフラックスのAu,Inによる測定では、熱外中性子のフラックスが予想より小さかった。
|