研究概要 |
本研究では、さらに今までの予備的な研究を発展させ、AGEがアルツハイマー病および、その類縁疾患の原因となるか否か、およびその病態発現機序を解明することを目的とし、一定の成果を上げることが出来た。アルツハイマー病の原因としては、amyroid β protein(Aβ),apoprotein E(ApoE),tauproteinなどが関与すると考えられている。これらのアルツハイマー病の原因物質とAGEが脳組織の局在を、老人斑、neurofibrillar tangls (NFTs).cerebral amyloid angiopathy(CAA)の病変部位を中心に、アルツハイマー病のみならずprogressive supranuclear palsy,Pick′s disease,Guamanian amyotrophic lateral sclerosis/persinson-dementia complexなどの類縁疾患についても検討した。その結果、 1) 老人斑、CAAでAGEとApoEの局在は一致した。 2) AGEはintracellular NFTsに存在し、ApoEはextra cellular NFTsに存在した。 3) Pick′s diseaseに認められるPick′s bodyやアルツハイマー病類縁疾患で認められる顆粒空胞変性部位にAGEの蓄積が認められた。 4) アルツハイマー病類縁疾患においても、アルツハイマー病に認められた老人斑やNFTsに認められたAGEの局在が観察された。 以上の結果はAGEがアルツハイマー病やアルツハイマー病類縁疾患においてneuronnの機能不全や細胞死に深く関与していることを示唆すると考えられた。この本研究での主要な成果は、病理学研究の代表的雑誌であるAm.J.Pathol誌に報告した。さらに関連する研究として、AGEの特異的蛍光を用いる血液中AGE測定法の研究(Metamolism誌)とAGE阻害治療薬の作用機序を解明する研究(Diabetologia誌 印刷中)を行い報告している。
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