研究課題/領域番号 |
09470207
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 光源 東北大学, 医学部, 教授 (70033321)
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研究分担者 |
沼知 陽太郎 東北大学, 医学部・付属病院, 講師 (00261636)
松岡 洋夫 東北大学, 医学部, 助教授 (00173815)
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キーワード | キンドリング / 神経発芽 / 神経細胞死 / 海馬 / グリア細胞 / 顆粒細胞分裂 |
研究概要 |
近年の研究報告にて、てんかんモデルの脳病理学的所見として、海馬における顆粒細胞軸索の神経発芽、細胞脱落と顆粒細胞の異常な細胞分裂が報告されている。 特に海馬における顆粒細胞軸素の神経発芽、細胞脱落の所見は、側頭葉てんかん患者にしばしばみられる海馬硬化の摘出脳にも観察されることから、側頭葉てんかんの難治かと関連する所見であると注目されている。 今回の2年間の研究では、主に顆粒細胞の異常な細胞分裂とグリア細胞(アストログリア、ミクログリア)の変化について検討してきた。昨年度は全身けいれんを約10回反復した時点で顆粒細胞の分裂とクリア細胞の活性化所見を得た。今年度は更に例数を増やし、細胞分裂とアストロサイトとミクログリアの経時的変化と過去の研究結果である神経発芽と細胞死の結果から相互の関連について検討した。 その結果、全身けいれんを10回反復した群にて異常な細胞分裂が前回同様観察された。しかし後発射反復回数が20回以下のラットではコントロールと有意な分裂細胞は観察されなかった。また実験群とコントロール群の比較にてアストロサイトの活性化に差はみられなかった。ミクログリアは18回後発射を反復した群から海馬に活性化所見がみられた。海馬以外の脳部位の経時的に検討すると、7AD群では刺激側の視床腹側核、18AD群ではさらに内側核へ広がり、29.AD群では脳全体の脳全体の活性化が観察された。また対側の扁桃核では18AD群から活性化所見が観察された。 以上2年間の研究結果から、キンドリングモデルでは全身けいれんを約10回反復した時点で神経発芽が明らかとなり、また海馬顆粒細胞の細胞死が有意に生じており、電気刺激を18回以上反復した時点で海馬のミクログリアが活性化し、後発射20回以上かつ全身けいれん10回以上反復した時点で顆粒細胞の異常な細胞分裂が誘導される結果となった。以上のことから、キンドリングにおける脳の組織学的変化は全身けいれんでは10回、後発射では20回以上の時点で何らかの遺伝子の発現により病的変化が生じる可能性が示唆された。
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