研究課題/領域番号 |
09470208
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
|
研究分担者 |
田中 稔久 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10294068)
中村 祐 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70291440)
工藤 喬 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10273632)
竹田 潤二 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50163407)
|
キーワード | アルツハイマー病 / プレセニリン / プレセニリン / aging / Aβ / GFAP |
研究概要 |
この研究で、遺伝子変異(I213T)を持つプレセニリン1(PS1)遺伝子を相同組み換えにより相当するエクソン8に導入したknock-inマウスを作成に成功した。このマウス脳内のAβ40及びAβ42についてELISA法を用いて測定したところ、変異アレルの数に依存してAβ42/Aβ40比が上昇することが確認された。しかし、30週齢のこのモデル動物について、免疫組織化学的に検討した結果、アルツハイマー病(AD)に特徴的な病理像である老人斑及び神経原線維変化や神経細胞死は認められていない。従って、30週齢動物ではPS1の変異単独ではAD特異的な神経変成は生じないことが示された。ADの最大の危険因子はagingであるが、本年度は老齢knock-inマウスを用いて、PS1の変異に対するagingの影響について検討した。24月齢のhomozygous、heterozygous、及びwild type の knock-inマウスを用い、それらの組織病理学的変化と蛋白レベルでの変化について検討した。対照として8月齢の動物を用いた。24月齢においても、老人斑や神経原線維変化を認めなかった。抗GFAP抗体を用いた免疫組織化学的検討より、24月齢では星状膠細胞がPS1変異の数に応じて増生する事が確認され、この変化はhomozygousの海馬で顕著であった。この結果は、抗GFAP抗体を用いたWestern法にても確認された。さらに、24月齢の動物を抗Aβ抗体を用いた免疫組織化学的検討すると、細胞内Aβ42がPS1変異の数に応じて蓄積することが観察され、その所見はhomozygousの大脳皮質第2-3層に顕著であった。本年度の結果は、PS1の変異にagingをかけると星状膠細胞の増生やアミロイドの蓄積などAD脳で見られる変化を生じるが、特徴とされる老人斑形成や神経原線維変化には至らないことを示した。
|