研究課題/領域番号 |
09470209
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田代 信維 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80037407)
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研究分担者 |
山田 尚吾 九州大学, 医学部, 助手 (70284502)
尾籠 晃司 九州大学, 医学部, 助手 (40211817)
久保 千春 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80117100)
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キーワード | 情動 / ストレス / 視床下部 / コーピング / 神経免疫学 |
研究概要 |
今回の研究で、情動ストレスに対するコーピング行動と免疫能に関連する論文として、以下の4編が完成あるいは投稿中・投稿準備中である。 1.ネコに不穏行動を引き起こす視床下部刺激を、1回に10秒間、5分間隔で1時間、合計12回(総計120秒)与えた時、末梢血顆粒球増多・Tリンパ球減少が引き起こされ、これは免疫系が活性化している状態と考えられることがわかった(受理・印刷中)。 2.不穏行動を引き起こすと刺激装置のスイッチを切ることを学習したネコで、スイッチを自発的・能動的に切れる時(即ちストレスに対するコーピング行動がとれる時)と自発的には切れない時(ストレスに対処できない時)の間で、同じ通電時間であるにもかかわらず、末梢血中の顆粒球数に差が生じることがわかった。(投稿準備中)。 3.顆粒球数の変化を引き起こす物質の内、アドレナリンとコルチゾールの血中濃度が、スイッチが自発的に切れる時と切れない時で異なった変化を示すことがわかった。さらに、実験中の動物の行動を動物行動分析装置で分析したところ、末梢血中の顆粒球数やアドレナリン、コルチゾール濃度の変化と運動量が相関しないことがわかり、今回得られた結果が、単なる運動の効果によるものでなく、ストレスの程度(コーピング行動可能か不可能か)によって起こったものであることが示唆された(投稿準備中)。 4.異なる種類の情動が出現する時の白血球数、表面接着分子発現について調べたところ、不穏と威嚇とでは白血球数には差がないにもかかわらず、表面接着分子の発現に違いが起こることがわかった。(投稿中)。 以上(1)〜(4)の研究結果より、視床下部刺激で起こる情動行動は、人工的に惹起された行動ではあるが、免疫能への影響についても、自然界でおこる現象と矛盾するものではなく、情動ストレスと学習(コーピング行動)を研究する上で有益な動物モデルであると推測される。
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