研究課題/領域番号 |
09470217
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石橋 俊 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (90212919)
|
研究分担者 |
大須賀 淳一 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
原田 賢治 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
山田 信博 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40200729)
|
キーワード | 動脈硬化 / 細胞間質 / 高脂血症 / リポタンパク / リポタンパクリパーゼ / アポリポタンパクE / マクロファージ / ノックアウトマウス |
研究概要 |
動脈硬化の発症過程におけるリポタンパク繋留反応仮説の妥当性を検証するために、リポタンパクリパーゼ(LPL)がリポタンパク繋留に及ぼす作用を検討した。LPLを過剰に発現するトランスジェニックマウスをアポEノックアウトマウスに交配して、LPLを過剰に発現するアポE欠損マウス(LPL/APOEKO)を作製した。このマウスとアポE欠損マウス(APOEKO)の脂質代謝ならびに動脈硬化について検討した。LPL/APOEKOの血清TG値は、APOEKOこ比較して著明に抑制されていたが、血清TC値には大きな変化は認められなかった。HPLC法、アガロース電気泳動、超遠心法によってリポタンパクの組成変化を検討したところ、リポタンパクの小粒子化が観察された。動脈硬化は1/2に抑制された。動脈硬化抑制の機序を明かにするために、それぞれのマウスから得られたVLDLならびに、d<1.063g/ml分画のマクロファージに対する泡沫化能を検討した。VLDLによるコレステロールエステル形成能には差は認められなかったが、LPL/APOEKO由来のd<1.063g/ml分画は、APOEKO由来に比較して、20%ほどコレステロールエ-ステル形成能が抑制されていた。これらの結果から、LPLの過剰発現はアポE欠損状態こおいても抗動脈硬化作用を有しており、これはリポタンパク粒子の組成変化に起因すると考えられた。しかしながら、マクロフアァージの泡沫化へのリポタンパクの影響は少なく、血管壁内細胞間質へのリポタンパク繋留の変化に起因する可能性が高いと考えられた。現在、その定量系を確立するとともに、LPLの作用機作を明かにする目的で、変異LPLのトランスジェニックマウスを作製している。
|