研究課題/領域番号 |
09470239
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
浅野 泰 自治医科大学, 医学部, 教授 (00050500)
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研究分担者 |
雨宮 守正 自治医科大学, 医学部, 助手 (90275678)
川上 潔 自治医科大学, 医学部, 教授 (10161283)
武藤 重明 自治医科大学, 医学部, 講師 (40190855)
大野 修一 自治医科大学, 医学部, 助手 (90285776)
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キーワード | アルドステロン / 血管平滑筋細胞 / 細胞内pH / Na / H交換輸送体 / 細胞質内受容体 / 膜受容体 / Cキナーゼ / 細胞骨格 |
研究概要 |
ラットの内因性mineralocorticoidであるaldosterone(Ald)の血管平滑筋細胞(VSMC)におけるNa/H交換輸送体(NHE)の調節機序を検討した。ラット胸部大動脈より単離,培養した血管平滑筋細胞にpH感受性蛍光色素であるBCECF-AMを負荷し細胞内pH(pHi)を測定した。NHEの機能はK/nigericin法を用い細胞内酸性化後のpHiの回復速度により算出する.Ald(1μM)を投与すると、3時間後、24時間後いずれにおいてもpHiおよびNHE活性の増加を認めた。蛋白合成阻害薬のcycloheximide、mRNA転写阻害薬のactinomycin D、細胞質内mineralocorticoid受容体(MR)拮抗薬のspironolactone、細胞質内glucocorticoid受容体(GR)拮抗薬のRU38486はいずれもAldの24時間後のNHE活性刺激作用を抑制したが、3時間後の作用には全く影響を与えなかった。protein kinase C(PKC)の阻害薬(staurosporine、calphostin C)やphorbolester(PMA)の24時間投与によるPKCの欠乏状態ではAldの3時間、24時間後のNHE活性刺激作用はいずれも抑制された。PKC活性化薬のPMAを3時間単独投与すると、Ald3時間投与後と同様NHE活性亢進を認めた。Ald投与後5分をピークとしてPKC活性の一過性の増加を示した。Aldの3時間後のNHE活性刺激作用はmicrotubuleの破壊薬のcolchicine、actin filamentの破壊薬のcytochalacine Bによって抑制された。HNE(NHE-1)mRNAレベルはAld投与24時間後で増加を示した。VSMCの4℃下での[^3H]aldを用いたbinding assayではAldの膜受容体の検出は困難であった。以上より、1)Aldの3時間後のNHE活性亢進作用は核を介さない機序、Aldの24時間後のNHE活性亢進作用は核を介する機序、によって起こる;2)Aldの3時間後のNHE活性亢進作用はPKCの活性化、細胞骨格系(microtubule及びactin filament)を介して起こる;3)Aldの24時間後のNHE活性亢進作用はPKCの活性化とMR及びGRを介して起こる、ことが判明した。
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