研究課題/領域番号 |
09470245
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
齋藤 英昭 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30134555)
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研究分担者 |
古川 聡 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
韓 一秀 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
深柄 和彦 東京大学, 医学部・附属病院, 医員 (70323590)
井上 知巳 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
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キーワード | 炎症性メジエータ / 外科侵襲 / 細胞死 / apoptosis / necrosis / 好中球 / 成長ホルモン / 接着分子 |
研究概要 |
本研究は、外科侵襲時の炎症性メジエータの動態とその制御法の解明、及び重症臓器障害の発症予防法の開発を目的とする。本年度は以下の検討を行った。 (1)炎症の遷延と収束に重要な役割を演る好中球細胞死と侵襲との関連及びその制御:ヒト末梢血好中球は、単独培養ではapoptosis(Apo)を生じたが、E.coliとの混合培養では好中球:細菌比の増加と共に細胞死、特にnecrosisが増加した。その際、好中球をgrowth hormone(GH)で前処理すると細胞死が抑制された。一方、外科手術患者の末梢血好中球を単独培養すると、第1病日の好中球はGH無処理でも術前に比べApoが抑制されていれた。第1病日のApoは手術時間・血清IL-8値と負相関した。また術後早期ではGHのApo抑制効果は失われた。 (2)重症腹膜炎の侵襲局所・末梢血での好中球接着分子発現の差異とその制御:マウスに生食(対照)、GH(4.8mg/kg/日)又はinsulin-like growth factor I(IGF-I;24mg/kg/日)を前投与後、E.coli腹膜炎を惹起した。4時間後、GH・IGF-Iは対照に比べ腹腔内浸出細胞数を増加した。CD11b発現は末梢血好中球(PN)に比べ腹腔内浸出好中球(PEN)が高値であったが、特にGHはPNのCD11b発現を増すことなくPENのCD11b発現を増加させ、PEN数を3倍に増加して腹腔内生菌数をを減少させた。 以上の検討より、好中球細胞死は細菌数や外科侵襲の程度、即ちendotoxinや炎症性サイトカイン等の炎症性メジエータの種類・多寡に影響され、これが生体防御能や臓器障害・炎症遷延化に関連すると考えられた。また好中球細胞死のGHによる制御の一端が示された。一方、腹膜炎では侵襲局所・末梢血での好中球接着分子発現の制御が宿主防御に重要であることがGHを用いた検討で示された。
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