研究概要 |
1)膵内分泌腫瘍であるインスリノーマにおいて副甲状腺と同様にカルシウム感受性受容体(CaR)が存在することを電気生理学的手法,サザンプロット法により見出したことを報告しているが,これに引き続き膵内分泌腫瘍組織におけるCaRの発現を蛋白レベルにおいて調べた.免疫染色,ウエスタンプロット法によりヒトインスリノーマ,ガストリノーマ,Vipomaの各細胞においてCaRの発現を確認した.またこのCaRは細胞膜に局在していることも明らかにした.現在正常膵α,β細胞,膵癌細胞株におけるCaRの発現を調べている.一方,インスリノーマ,ガストリノーマ細胞におけるCaRの機能について細胞内カルシウム濃度を測定することにより調べた.高濃度の細胞外カルシウムは細胞内カルシウム濃度を濃度依存性に上昇させたがこの反応はPl turnoverをワートマニンでブロックしたときにはみられなかった.しかしながらプロテインキナーゼCの阻害剤によってはブロックされなかった.高濃度のニッケル,コバルト等の陽イオン刺激においても細胞内カルシウム濃度が上昇することを見出しCaRがカルシウムのみならず他の陽イオン変化も感知することを見出した. 2)ガストリノーマにおけるセクレチンレセブターの存在を調べるためプローベを作成しRT-PCRを行いヒト正常胃G細胞,ガストリノーマにおいてmRNAレベルにてその存在を確認した. 3)ヒト内分泌腫瘍細胞の長期保存,維代培養に関してヌードマウス皮下に腫瘍を移植し継代する事を目指している.最近ヌードマウス皮下に血管新生因子を前投与することにより正常膵ラ氏島の長期保存に成功したので本法を内分泌腫瘍移植の際に試みている.
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