研究概要 |
在宅静脈栄養(HPN)患者にMn投与を中止した昨年度の検討では、T_1値はMn off期間、全血中Mn値との間に高い相関係数が得られ、脳MRI所見とT_1値はMnの指標として有用であることが明らかとなった。本年度は1日Mn20μmol(1.1mg)の再投与並びに投与量別(20;2;1;0μmol/日)の結果を検討した。1日20μmolの再投与では血漿Mn値(M±SD)は再投与前1.80±l.39μg/lと健常人値(3.65±1.0)より低値で再投与後は変動は少なかった。全血中Mn濃度は再投与前10.3±4.8μg/lと健常人値(14.6±4.7)内であったが、再投与後は4カ月目まで漸増し1カ月日以降健常人値、再投写前に比べ高値であった。脳MRIは再投与後3カ月以降全例にT_1強調画像で再度HighIntensity(III)を認めた。脳MRI所見をIII(+)群;III(±)群;III(-)群の3群に分けでT_1値をみると各々481±56;750±182;960±120msecで各群間に差がみられた(対照994±66)。1日Mn20;2;l;0μmolの投与量別の検討では血漿Mn値は各々2.5±0.8;1.3±0.3;4.0±1.9;1.4±0.3μg/lと正常乃至正常以下であった。全血中Mn値は各々46.2±19.1;17.9±5.3;16.0±4.4;11.6±2.2μg/lと20μmol投与で正常より高値;2および1μmol投与で正常内;0μmol投写で正常を下回るものが33%にみられた。T_1値は各々495.8±57.5;853.9±99.8;944.4±54.3;995.1±119.4msecと2μmol以上の投与でT_1値の短縮がみられた。脳MRIでのIII(+),(±),(-)の割合は20μmol投与で91%、9%、0%;2μmol投与で0%、50%、50%;1μmol投与で0%、25%、75%;oμmol投与で0%、0%、100%と2μmol以上の投与でIII(+),(±)の割合が高かった。以上の結果、脳MRIの高信号(III)は新たなMn指標として有用であり、T_1値もIIIの程度と関連し客観的指標として有用である事が判明した。これらを指標として1日Mn投与量は1μmolが2;20μmolに比べより適量と思われた。
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