研究課題/領域番号 |
09470256
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
平田 公一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50136959)
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研究分担者 |
三高 俊広 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50231618)
望月 洋一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (40045381)
桂巻 正 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50253993)
高後 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10133183)
HIRATA Koichi Sapporo Medical University, Professor (50136959)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 胆汁うっ滞 / 毛細胆管 / 肝細胞膜 / サイトカイン / 肝細胞 / 動態画像 |
研究概要 |
本研究の経緯および目的を総論的研究(A)と各論的研究(B)に分け、以下に説明する。 A.敗血症と胆汁うっ滞-類洞及び毛細胆管における基本的所見- 敗血症における不都合な反応・病態としての肝機能障害の発生機序については、(1)肝内微小循環および大循環障害と(2)肝細胞内のシグナル伝達系障害、が基因となっているのは、今日までの著者らの報告を含めて多くの研究報告により明らかにされつつある。特に胆汁うっ滞については、肝硬変、肝外胆管閉塞、肝細胞内胆汁うっ滞性病変などにおいてそれぞれの分野から研究されてきたものであり、同様のことが敗血症における病態の中でもひとつの重症な病態として位置づけられることは臨床的に明らかにされており、その背景病態として肝実質細胞が類洞内変化、類洞構成細胞変化(活性化、アポトーシス、変性、壊死など)とおりなす細胞相関による変化に由来することが想定される。本研究では上記のような病態を、主としてin vivoにおける生体反応として確認する目的で、主としてラットを中心とした形態学的研究を行った。その結果、肝実質細胞、毛細胆管形態変化、類洞腔内変化、類洞構成細胞変化が「胆汁うっ滞」という病態を中心としてそれぞれが強くそこへ相関していることを確認しえた。 B.「腫瘍致死因子(TNF-α)はラットの毛細胆管外へ胆汁液の漏出を促進する」 研究Aの結果に基づいて、毛細胆管に着目し敗血症時における毛細胆管運動、形態変化に限り焦点を当て研究した。 -背景と目的-:肝外胆管の閉塞がなくとも胆汁うっ滞を生じる病態の存在を臨床上数多く経験するが、それらの多くは細菌感染であったりエンドトキシン血症であることが知られている。そのような病態時には毒素によりマクロファージが活性され、TNF-αやIL-6などに代表される炎症性サイトカインやスーパーオキサイトなどもろもろの生体反応産物が血中に放出されることが知られている。このような因子の中で先ずTNF-α、IL-6が胆汁うっ滞に関与するのではないかと想定し、主としてin vitroにおける研究を毛細胆管の運動形態の面から研究を行った。 -方法-:ラット肝から肝細胞を分離し、その中から2個でカップリングされた肝細胞の毛細胆管運動に注目して、10秒毎に2時間繰り返す収縮運動を記録した。またin vivo研究においてはラットの肝外胆管にカミュレーションし、胆汁放出量から検討した。さらにランタナムを静注して肝内分布の変化を形態学的に検索した。以上の指標によって、TNF-αやIL-6が添加された場合には毛細胆管運動は低下し、その収縮運動も不充分な形での不完全収縮運動を生じるようになった。in vivo研究においては、TNF-α、IL-6投与より排泄胆汁量は減少し、ランタナムは毛細胆管にうっ滞する所見を認めた。 -結果-:TNFが添加された場合には、毛細胆管から肝細胞間膜に向かって急速な流れを伴う毛細胆管運動を観察しえた。またTNF-α,IL-6が添加された場合には毛細胆管運動は低下し、その収縮運動も不充分な形での不完全収縮運動を生じるようになった。in vivo研究においては、TNF-α,IL-6投与により排泄胆汁量は減少し、ランタナムは毛細胆管にうっ滞する所見を認めた。 -結論-:TNF-αは毛細胆管運動の抑制と細胞間結合部の緩化を生じ、胆汁の胆管外流出を招くことが示唆された。
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