研究概要 |
1)ヒトIL-1Ra cDNAの精製 2)組換えアデノウイルスの作成 3)In vitroにおけるIL-1Ra遺伝子の導入と発現の検討 4)ラット肝へのin vivo遺伝子導入と発現の検討 5)ラット肝虚血再灌流モデルにおけるIL-1Ra遺伝子の導入による再灌流障害抑制効果の検討 これまでの研究によって、recombinant IL-1Ra40mg/kgの門脈内注入によって再灌流障害の抑制が確認されているため、まず予備実験としてこの条件での血清中のIL-1Ra値を測定した。その結果、投与後5分の時点での血清IL-1Ra濃度の最高値は、2.86ng/mlであった。したがって、リポソーム法、組換えアデノウイルス法とも、十分に再灌流障害を抑制し得る濃度が得られているものと考えられた。 まずリポソーム法にて100μgIL-1Ra DNAを門脈内注入し、24時間後に再開腹して肝80%90分虚血再灌流を行い、0分および180分の時点での血清ALT、ASTを測定したところ、ALTは0分で217.8±97.5IU/L(対照642.8±427.5IU/L,NS)、180分で1420.3±358.5IU/L(対照5247.3±3318.8IU/L,P<0.05)、ASTは0分で162.0±48.6IU/L(対照453.0±372.7IU/L,NS)、180分で1664.0±473.1IU/L(対照5863.2±3932.7IU/L,P<0.05)と、IL-Ra導入群で180分において有意に障害が抑制されていた。 また同モデルで血清rat TNFをELISA法にて測定したところ、0分で47.50±4.53pg/ml(対照37.79±7.01pg/ml,NS)P<0.05180分で71.34±13.75pg/ml(対照110.73±33.66pg/ml,P<0.05)と、IL-1Ra導入群でやはり有意に抑制効果が認められた。
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