研究課題/領域番号 |
09470259
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
淵之上 昌平 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (10147382)
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研究分担者 |
澤田 登紀彦 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20266761)
中島 一朗 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80198077)
唐仁原 全 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80197847)
三宮 彰仁 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40297445)
村上 徹 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50287356)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 肝移植 / 心停止ドナー / 灌流保存液 / 術中無肝期 / 臓器摘出法 / ブタ |
研究概要 |
われわれは臨床の心停止ドナー肝移植を想定して、ブタを用いた心停止ドナーモデルを作製し、各種灌流・保存液がグラフト肝に及ぼす影響を検討した。臨床の臓器移植で広く用いられているEuro-Collins(EC)液、University of Wisconsin(UW)液とともに新しい灌流保存液であるSodium Lactobionate Sucrose(SLS)液についても検討した。 脱血および麻酔深度の調節にて1時間の低血圧状態を負荷後心停止させ、心停止1時間後に初期灌流を行い肝グラフトを摘出した。このモデルでは低血圧および1時間の心停止がドナー肝に重大な影響をおよぼし、脳死ドナーからの肝移植と比較して、移植肝のviabilityは著しく低下した。初期灌流には4℃のEC液・UW液・SLS液を使用し、各々の灌流液中に6時間冷保存後同所性に移植したが、移植後の肝機能はEC液・UW液・SLS液の順に良好であった。また、肝移植術中無肝期の静脈-静脈/門脈-静脈バイパスをpassive shuntからactive shuntに変更することにより移植肝機能は改善した。1時間の心停止モデルでは、いずれの灌流保存液を用いても長期保存はえられなかったが、心停止時間を30分に短縮したモデルでは、SLS液により長期生存がえられた。 本研究より以下の結論がえられた。1)灌流保存液の組成は、低血圧負荷心停止ドナーからの移植肝機能に影響を及ぼす。2)灌流保存液の改良により、低血圧負荷心停止ドナーからの移植肝機能を向上させうる。3)レシピエントの術中循環動態も移植肝機能に影響を及ぼす因子のひとつである。 臨床の現場では、心停止後30分以内にドナー肝を摘出することは十分に可能である。われわれの用いたSLS液は心停止ドナーからの臓器摘出に有用であると考えられ、さらなる研究がより安全な心停止ドナーからの臨床肝移植の実現を保証する。
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