研究課題/領域番号 |
09470261
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
小山 研二 秋田大学, 医学部, 教授 (80004638)
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研究分担者 |
伊藤 正直 秋田大学, 医学部, 助手 (80282169)
佐藤 勤 秋田大学, 医学部, 助手 (90235367)
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キーワード | 肝硬変 / 肝癌 / 肝血行遮断 / 肝代謝 / 熱ショックタンパク |
研究概要 |
術中出血の減少は肝切除の安全性を高める上で最も重要で、そのために全肝血行遮断下肝切除が有効であるが、肝硬変では血行遮断による肝障害が大きい可能性がある。 本研究は、集術期に肝賦活特殊治療を複合的に行って、長時間の全肝血行遮断に耐え、肝切除の安全性向上を目指すもので、以下の成績を得た。 1、 肝血行・代謝動態の検索システムの構築:肝動脈、門脈血流量の連続測定と動脈、門脈及び肝静脈血の持続的ガス分析値と電解質検査値等を電算機入力し、肝酸素消費量及び電解質代謝の連続測定と電算機処理・分析を可能にした。このシステムは、肝血行遮断など異常状態の肝循環動態と肝代謝の適切な評価を可能にし更に各種薬剤投与や温熱負荷の治療的意義を明らかにすることが可能になった。 2、 肝流入血行の遮断の際は下大静脈から肝静脈へ血液が逆流して肝に酸素供給を行う。 3、 肝硬変ラットでも正常ラット同様、温度負荷によるHeat Shock Proteinの誘導が肝細胞を保護することを確認した。しかし、誘導量増加のための長時間温熱負荷は肝硬変ラットの全身状態が悪化するので、誘導は軽度に止めるのがよい。また、その誘導の有無を予知するために、Heat Shock Protein mRNAを検索することを確立にした。 4、 肝動脈又は上腸間膜動脈からのPG-E1注入が、肝動脈・門脈血流量と肝組織酸素飽和度を増加させることを明らかにした。特に、上腸間膜動脈からの注入は、肝動脈が閉塞された際の肝不全の予防と治療に有用であることを動物実験及び臨床例で確認した。 これらの結果から、肝硬変合併肝癌切除の際の肝血行遮断の安全性向上のために、術前の軽度の温熱負荷によってHSPを誘導するPreconditioningと、術前・術後の上腸間膜動脈からの選択的PG-E1注入によって達成されることが明らかにされた。
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