研究分担者 |
小切 匡史 京都大学, 医学研究科, 助手 (60283595)
嶋田 裕 京都大学, 医学研究科, 講師 (30216072)
細谷 亮 京都大学, 医学研究科, 講師 (00139908)
有井 滋樹 京都大学, 医学研究科, 講師 (50151171)
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
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研究概要 |
1.膵癌診断のための胎児膵と膵癌に発現する蛋白の同定 膵発生の中期から後期の標本を採取し,時間特異的に発現する分化誘導因子を検討した。CaR(カルシウムセンシング受容体),アクチビン,βセルリン等の有意の発現が胎生期膵と膵癌組織で確認された.分化のポテンシャルの高い膵導管系幹細胞を同定しこれらの因子の発現との関連を今後研究する.また,胎児性抗原であるCEAのmRNAのtwo-step RT-PCR法を確立し,胎児膵で検討するとともに,臨床への応用を図った.その結果,膵癌患者における末梢血及び門脈血中の微小膵癌細胞を高感度で検出することが可能となり,臨床での膵癌診断のうちでも,化学放射線療法の治療効果や膵癌根治的切除後の再発予測の判定に応用できることが判明した. 2.膵癌の腫瘍血管新生とその機序 膵癌切除検体の解析から,基底膜破壊酵素であるMMP-2発現と腫瘍の膵周囲浸潤・リンパ節転移・遠隔転移能が密接に相関することが判明した.また膵癌組織の血管内皮特異的染色によりその腫瘍血管密度を測定し,血管増殖因子との関連を検討した.VEGFやPD-ECGFが膵癌細胞あるいは癌組織内浸潤リンパ球に強発現し,これらと腫瘍血管新生との間に密接な相関が認められた.したがって,膵癌の新しい治療法を目指した今後の研究の展開にとって,基底膜破壊酵素や血管増殖因子を分子標的とした血管新生阻害が重要であることが示唆される.
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