研究分担者 |
小切 匡史 京都大学, 医学研究科, 助手 (60283595)
嶋田 裕 京都大学, 医学研究科, 講師 (30216072)
細谷 亮 京都大学, 医学研究科, 講師 (00139908)
有井 滋樹 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50151171)
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
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研究概要 |
1. 胎児膵での原始膵管細胞からの分化増殖機構の検討:胎生6週から32週の胎児膵標本を採取し,時間特異的ならびに空間特異的に発現するアポトーシス関連因子・増殖因子・分化誘導因子・膵内分泌ホルモンを免疫組織学的に検討した.その結果,アポトーシス抑制因子では,Bcl-XLは全ての膵構成細胞(内分泌細胞・腺房細胞・導管系細胞)に全ての週令で高発現し,Mcl-1は内分泌細胞で高発現するが,Bcl-2はどの細胞でも発現していないことが明らかになった.一方,アポトーシス誘導因子のBaxは全ての膵構成細胞に弱発現していたが,TUNEL染色ではアポトーシスは確認できなかった.総合すると,時間空間的に特異的なアポトーシス抑制因子が発現することにより,細胞の自殺機構が作動することなく膵が形成されることが判明した.またPCNA染色の結果,胎生初期では全ての膵構成細胞の約80%に細胞増殖がみられるも,内分泌細胞の増殖は胎生中期までに終了し,外分泌系細胞の増殖は胎生後期まで継続することが判明した.また,胎生初期には原始膵管細胞から内分泌細胞が分化増殖する像を同定しえた.これらの研究成果に基づき,次年度研究では,原始膵管細胞からの分化増殖機構と膵癌発癌の関連性を追求する. 2. 膵癌の腫瘍血管構築様式と血管新生の機序の検討:前年度研究で,膵癌の腫瘍血管新生とVEGF・PD-ECGF・MMP・MT-MMPなどの関連性を明らかにしたが,今年度研究では,血管内皮細胞の遊走に着目し,CXCケモカインであるSDF-1とその受容体CXCR-4の関与を細胞生物学的に明らかにした.2年間の継続研究で,腫瘍血管新生の多段階のステップである基底膜破壊・内皮細胞の遊走・増殖などの機構を明らかにしたので,これらに対する特異的阻害剤を用いて実験モデルでの治療実験に次年度研究を発展させる.
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