研究課題/領域番号 |
09470266
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (60263084)
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研究分担者 |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
山本 雄造 京都大学, 医学研究科, 助手 (70281730)
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キーワード | 人工肝臓 / 異種肝灌流 / 拒絶反応 / Kupffer細胞 / 塩化ガドリニウム / サイトカイン / 補体 / 可溶性1型補体受容体 |
研究概要 |
1.肝臓摘出48時間前と24時間前にGdCl3を10mg/kg ivしたラットから摘出した肝臓をヒト血により潅流し評価した。GdCl3を投与されたラット肝臓はコントロール群と比較して有為に高い肝逸脱酵素(AST,CKBB)の上昇を認め、組織学的にも異種潅流による液性傷害を強く認めた。異種肝還流中の潅流液のIL-lβは、GdCl3処理のラット肝ではコントロールに対して有意に高値であり、産生細胞は血管内皮であった。しかし、Kupffer細胞で産生されると考えられるTNFαには差は認められなかった。この結果は、Kupffer細胞は異種潅流において肝保護的に作用しうるという異種反応特異的な現象を示していると考えられた。現在、ラットKupffer細胞はヒトの補体成分や異種特異的自然抗体の貧食により異種潅流における液性傷害を軽減するという仮説の元にラットKupffer細胞の分離培養を進めている。 2.ヒトにブタ肝体外異種交差潅流を行うために、ヒヒを使用したブタ肝の交差潅流実験を行った。その結果、健常ヒヒにブタ肝を交差潅流した場合、ブタ肝は3から6時間で重篤に傷害され、異種反応に伴う溶血により致命的な重度の貧血と腎不全が惹起されることが判明した。この系に可溶性I型補体受容体(sCR1)を大量投与した場合、補体抑制による異種液性傷害の軽減により肝保護作用が認められたのみならず、ヒヒの全身状態も良好に保たれヒヒ免疫細胞の活性化も軽減される傾向を認めた。また、交差還流中のヒヒ全身状態も良好に保たれた。現在DAF遺伝子導入ブタの実験使用計画も進めている。また、異種交差潅流における疾患移入防止のために農水省の無菌ブタを用いたシミュレーション実験も平成9年度に行い、農水省から搬入した無菌ブタを本学専用施設に搬入後3週間にわたり無菌的に飼育し、実験に使用し得た。
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