研究課題/領域番号 |
09470267
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
具 英成 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (40195615)
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研究分担者 |
岩崎 武 神戸大学, 附属病院, 医員
富永 正寛 神戸大学, 附属病院, 医員
黒田 嘉和 神戸大学, 医学部, 教授 (70178143)
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キーワード | 進行消化器癌 / 高用量化学療法 / 臓器潅流化学療法 |
研究概要 |
本研究では、進行消化器癌の長期の寛解と生存をはかる目的で経皮的臓器潅流化学療法を軸とする集学的治療体系の確立を目指してきた。本年度は、肝細胞癌例に対して経皮的肝潅流による反復治療を積極的にすすめ、本治療が最大4回までの反復が安全に行なえることを実証した。また、反復により奏功した例では奏功期間が平均20ケ月まで単回治療例の6ケ月に比べて有意に延長されることが明らかになった。この結果を踏まえ、大腸癌肝転移例ではシスプラチンを主剤とする肝潅流化学療法を軸とするレジメの設定を行なった。このレジメでは、シスプラチンを150-200mg/m^2の投与量で2回肝潅流を反復し、その後皮下埋植カテーテルから5-FU500mg/dayの低用量持続動脈内投与する治療計画を立てた。現在までに計6例の大腸癌肝転移例を治療したところであるが有効率は83%に達し、血中腫瘍マーカーの低下期間は平均8ケ月と著明に延長することが判明した。この成績は今までの単回治療に比べて、さらに改善されており、従来、効果的な治療法がなかった大腸癌肝転移の長期寛解導入を達成する上で有望な治療となることが判明した。肝癌以外の消化器癌では膵癌、直腸癌の骨盤内再発例に対し本治療を用いることを予定していたが適当な治療対象例がなかったため臨床治験を得るまでには到らなかった。しかし、骨盤潅流化学療法については本学の産科・婦人科学講座と協力して子宮癌に対するシスプラチン大量動脈内投与を下大静脈分離・吸着法を併用することで安全に実施できた。この治験の蓄積によりシスプラチンを200mg/m^2で2週間隔、計2回までは安全に投与できることが明らかとなり、今後直腸癌の局所再発治療を実施する際の基礎的データーを得ることができた。 実験的検討としては、本治療システムにサイトカインとくにTNF-αを併用する可能性について検討を開始した。今後これらの検討をもとに経皮的臓器潅流化学療法の抗腫瘍効果をさらに増強とする試みを開始する予定である。
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