研究概要 |
【目的】新しいサイトカインのうち、抗腫瘍効果が期待されるIL-15,IL-18およびGM-CSF,MIP-1aを用いた癌免疫遺伝子治療について検討した。【方法】各サイトカインのcDNAを組み込んだ発現plasmid vectorを作製した。lipofection法によりMeth-Aおよびcolon26にそれぞれ遺伝子を導入し、これら腫瘍細胞をBALB/cおよびBALB/c nu/nuマウスに移植し、腫瘍増殖・移植局所の組織像および親株のrechal lengeについて検討した。【結果および考察】BALB/cマウスでは、Meth-A/IL-15の増殖はMeth-A/Neoと比較して明らかに抑制され腫瘍細胞は全て拒絶された。Meth-A/IL-15移植局所において7日目から単核球(CD4+and Muc-1+)および好中球の浸潤を認めた。一方、Meth-A/Neoでは細胞浸潤は認めなかった。また、ヌードマウスではMeth-A/IL-15移植局所の細胞浸潤は認めず、Meth-A/IL-15によって誘導された免疫反応はT細胞が中心的役割を担っていると考えられた。さらにMeth-A/IL-15拒絶マウスでは、Meth-A親株の再移植も全て拒絶し、移植局所に著明な単核球(CD8+and Muc-1+)の浸潤を認めた。同様な検討の結果、Meth-A/IL-18は移植後15日目に、すべての腫瘍が拒絶された。さらに、低免疫原性腫瘍であるcolon26においてもcolon26/IL-18では、colon26に比較して増殖は有意に抑制された。次に4種類の各遺伝子導入腫瘍細胞を混合して皮下投与した。腫瘍の発育はIL-15,IL-18,GM-CSFの3者併用時に最も抑制され、colon-26においてもすべての腫瘍は拒絶され、腫瘍特異免疫が誘導された。【結語】IL-15,IL-18,GM-CSFの3者併用遺伝子導入療法が最も効率よく腫瘍拒絶を誘導した。今後このメカニズムについてさらに検討を加え、最終目標である成立した転移性腫瘍の治療モデルについて有効な遺伝子治療を考案したい。
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