研究課題/領域番号 |
09470273
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研究機関 | 国立小児病院 |
研究代表者 |
雨宮 浩 国立小児病院, 小児医療研究センター, センター長 (80009563)
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研究分担者 |
奥山 虎之 国立小児病院, 小児医療研究センター・遺伝研究室, 室長 (40177192)
李 小康 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科生体工学部, 科学技術庁特別研究員
絵野沢 伸 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科生体工学部, 室長 (40232962)
鈴木 盛一 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科生体工学部, 部長 (00111386)
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キーワード | 肝不全 / 細胞療法 / 遺伝子導入 / 肝細胞増殖 / 肝細胞分化 / 肝上皮幹細胞 / 羊膜細胞 / 免疫抑制 |
研究概要 |
末期肝不全あるいは肝細胞の先天性代謝異常症の新規な治療法としての細胞移植による肝組織再構築を巨的として、1)肝上皮幹細胞の探索、2)肝細胞分化誘導因子の探求、3)細胞への遺伝子導入による機能付与、4)移植細胞生着のための免疫抑制、の面から研究を遂行している。初年度には仔ブタ肝細胞の増殖性肝細胞を利用しUDP-glucuronosyltransferase欠損ラット(GUNNラット)に対する細胞移植治療を行い、同ラットの高ビリルビン血症を軽減することができた。本年度は、新たな肝幹細胞様の性質を示す細胞ソースとしてヒト羊膜細胞に着目しin vitro、in vivoで検討を重ねた(ヒト材料の取扱いに先立ち国立小児病院倫理委員会に申請し、許可条件に基づき実験を行った)。帝王切開で得られた胎盤から分離されたヒト羊膜組織はアルブミン陰性であるが、培養経過と供にアルブミン、α-フェトプロテイン陽性に変化する。アルブミンについてはRT-PCRでmRNAの検出、ELISAで培養上清中の分泌タンパクの検出を行った。この細胞をScidマウス肝へ移植したところ生着し肝組織構築に取り込まれた。この性質を利用し、上記GUNNラットヘUDP-glucuronosyltransferase遺伝子を導入した羊膜細胞の移植による治療実験を試みている。 肝実質細胞はin vitro培養系で速やかに分化機能を喪失するが、本年度は、種々の細胞との共培養及びラット胎児ホモジネートを用いることで分化機能の長期維持を試みた。共培養した細胞は、ヒト羊膜細胞、温度感受性SV40遺伝子導入ラット肝細胞株(IGRH)を用いた。ラット胎児ホモジネートは胎齢16日±1日を用い、ラット血漿を加えることによりゲル化させ、ゲル内で肝細胞を培養した。これらの条件下で肝細胞は本来の形態をよく維持しながら最長30日程度培養できた。また、分化機能の指標としてアンモニア除去能を調べたところ、ラット胎児ホモジネートゲル内培養で20日程度に及ぶ機能維持を見た。現在この機能維持因子を分画している。 移植細胞生着のための免疫抑制については本年度はアポトーシス関連遺伝子、特にFas-L遺伝子の導入による免疫抑制療法を検討した。Fas-L遺伝子の導入により移植肝の生着日数は対照の約3倍程度に延長することがわかった(詳細は、Liet at,Transplantation 66(11)1416-1423,1998に発表)。
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