研究課題/領域番号 |
09470280
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
富永 隆治 九州大学, 医学部, 助教授 (70136464)
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研究分担者 |
森田 茂樹 九州大学, 医学部, 講師 (70243938)
安井 久喬 九州大学, 医学部, 教授 (20089923)
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キーワード | 拍動流 / 無拍動流 / 人工循環 / 血管内皮細胞 / 一酸化窒素 / 分子生物学 |
研究概要 |
血流の拍動性が末梢血管内皮細胞の局所循環調節機能に及ぼす影響について 1.同一の体血流量(80ml/kg/min)では拍動流の方が無拍動流に比べ末梢血管抵抗は低く、大腿動脈血流は多い傾向を示した。また血中の血管内皮由来一酸化窒素(EDNO)の代謝産物であるNOx濃度は拍動流で高いことから、強力な血管内皮由来の拡張物質であるEDNOの血流刺激による放出が無拍動流で低下しており、これが無拍動流での末梢血管抵抗の上昇に関与している可能性が示唆された。 2.末梢血管抵抗、血中乳酸濃度、酸素消費量は90ml/kg/minの高流量では拍動流、無拍動流で大きな差はなかったが、70ml/kg/min以下の低流量では拍動流の方がより有利に末梢循環を保持することが示された。 以上の結果は慢性、覚醒下でのデータであるが、いずれも完全人工循環後24時間以内のものであり、それ以降の変化、生体の無拍動流への適応過程は観察されていない。そこで現在、無拍動流への経時的適応を分子生物学的に検討するため、血管内皮細胞及び血小板中のEndothelium type constitutive nitric oxide synthase(eNOS)のmessenger RNA発現量をRT-PCR法、Northern blotting法を用いて測定する評価法を確立させている。さらに来年度はColored microsphereを用いた血流分布評価、肺機能、腎機能など各臓器機能の変化も経時的に検討し、非生理的人工循環への生体の適応過程を調べていく予定である。
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