研究概要 |
イヌ単心室・右室低形成モデルにおいて電気的トレーニング後の自己骨格筋グラフトによる動的右室再建術を施行し血行動態的効果を評価した。対象:体重10-20kgの犬10頭 ペースメーカーによる8wの左広背筋グラフトの電気的トレーニングを施行. A:右室低形成における骨格筋移植右室形成術:完全体外循環,大動脈遮断下に心停止とした後、右室自由壁を切除し右室低形成モデルを作成。右室をパッチ拡大閉鎖後、左側有茎広背筋を右室上に被覆した.人工心肺離脱後,植え込み型骨格筋電気刺激システムにより広背筋graftを心拍動同期1:3,1:2,1:1,20Hzにて駆動し血行動態変化を評価した.骨格筋非駆動時,著明な右室不全を呈したが,心拍動同期1:1,20Hz駆動にて心拍出量170%PAP150%といずれも有意に上昇し,術前右室機能とほぼ同様に改善した. B:単心室における骨格筋移植右室再建術:人工心肺に先立ち体重20kg前後のdonorから採取した大動脈弁付きHomograftの側面に異種心膜により作成したpouchを吻合。モデルA同様に人工心肺をもちいて、右室腔および三尖弁を縫合閉鎖し、単心室モデルを作成。大動脈遮断を解除し心拍動下に先に作成した心膜pouch付き大動脈Homograftを右心房側壁-肺動脈に吻合,ついで左側有茎広背筋を心膜pouchおよび両心室外側に被覆した.骨格筋非駆動時,人工心肺離脱後CVP20mmHgと著明な右室不全を呈し安定した血行動態の維持は不可能であったが,心拍動非同期20Hz駆動にて心拍出量は術前の80%に上昇するとともにCVP12-14mmHgと生理的範囲に低下し安定した循環動態を維持しえた.今後術後慢性期における血行動態変化(心血管造影検査、血行動態テスト、駆動On-Off Tes)および血栓塞栓症や骨格筋変性の有無など肉眼的組織学的変化を検討する予定である.
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