研究課題/領域番号 |
09470311
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
井村 慎一 福井医科大学, 医学部, 教授 (90019886)
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研究分担者 |
奥村 康弘 福井医科大学, 医学部, 助手 (30204150)
大森 弘則 福井医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (70242592)
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キーワード | セメントレス人工股関節ステム / 動的解析 / 3次元コンピュータシミュレーション / 3次元非線形FE解析 / relative motion / 歩行分析 |
研究概要 |
(目的)現在、歩行運動を組み入れた人工股関節の動的力学解析の報告は見当たらない。従来静的荷重でしか解析できなかった点をADAMSという3次元動的コンピュータシミュレーションソフトを導入し、動的荷重に対して、弛みや摩耗が生じにくい人工股関節のデザインの適正化と関節摺動面の適切な材質の組み合わなどを明らかにするため3次元的力学解析を行う。 (方法)変形性股関節症の大腿骨および骨盤のCT画像をMed Visionソフトを用いてコンピュータに取り込み、3次元CADソフトI-DEASを用いて3次元合成を行うとともに、異なった人工股関節を大腿骨髄腔および骨盤に設置した3次元有限要素モデルを作成し、モーメントを加昧した静的解析を3次元非線形有限要素ソフトADlNAを用いて行う。次に足関節、膝関節に障害のない片側変形性股関節症の患者、および正常人の歩行解析をアニマ社製歩行運動自動解析システムを用いて行う。歩行解析より得られた、股関節、膝関節、足関節の経時的な関節角度を3次元動的コンピュータシミュレーションソフト(ADAMS)に取り込み、股関節中心に働く動的な合力を算出する。さらに、先の人工股関節を大腿骨髄腔および骨盤に設置した3次元有限要素モデルにADINAを用いて動的荷重解析を行い、骨-ステム間のrelative motion、大腿骨への荷重の伝達、骨-カップ間のrelative motionおよびカップヘの応力の伝達を評価する。 (結果)変形性股関節症の大腿骨髄腔に異なった形状の人工股関節(ステム)を挿入した3次元有限要素モデルにモーメントを考慮した静的荷重を用いて解析を行った結果、近位大腿骨髄腔への適合性のよいステムは、2種類の荷重下で骨-ステム間のrelative motionが少なく、逆に適合性の悪いステムは骨-ステム間のrelative motionは大きかった。また、大腿骨への応力伝達は、適合性のよいステムが大腿骨近位部でより多く荷重分散がなされていた。一方、正常人、及び片側変形性股関節症患者の歩行時の股関節に働く動的合力をADAMSにより解析中であり、現在までに報告されている立脚相における骨頭合力は、2峰性の山型を呈するというの結果の再現が可能となった。今後、ADAMSによって得られた動的荷重による3次元非線形解析を行い、静的荷重との比較検討を行う。
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