頸椎部脊髄症に対する後方除圧手術の一つとして本邦で開発された頸椎椎管拡大術(椎弓形成術)は臨床的に有用な術式である。しかし、頸髄の後方除圧にあたり後方支持要素の侵襲を行わざるを得ないために、長期的には支持再建効果を期待できるが、短期的には椎間が不安定であることは否めず、術後管理として頸椎の支持装具を使用する。装具の使用期間は臨床的経験に基づいて決められているのが実態であり、いまだに頸椎の力学的検討が適切になされていない。そこで昨年度に引き続いて、実験的に家兎(10羽)及びサル(2匹)に椎弓切除及び脊柱管拡大を行って成功している。現在は各手術侵襲後の頸椎の力学的解析を調べ、健常と比較して、その力学的検討を行っている。現時点では小動物における手術にも習熟し、モデルが順調に作成されており、さらに数を増やしつつある。 力学的検討も行っており、その解析もまもなく終了する。併せて、コンピューター・モデルにシミュレーションし、3次元有限要素法により解析している。材料定数、荷重条件、支持条件については工学部機械工学の方々のご意見を参考にしながら、実施している。すでに腰椎に関する基本的なデーターについては過去に研究を行った実績があり、その原則を活用して頸椎に関する諸条件を決めつつある。現在は人のデーターと実験動物のデーターを比較している。有限要素解析は思ったよりも時間を要しているが、かなりな成果が得られつつある。
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