研究課題/領域番号 |
09470320
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (20178031)
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研究分担者 |
滝川 正春 岡山大学, 歯学部, 教授 (20112063)
石田 敏博 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20295653)
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キーワード | 遺伝子治療 / 変形性関節症 / モルモット / アデノウイルスペクター / LacZ / TGF-β1 / 軟骨細胞 / プロモーター |
研究概要 |
1.アデノウイルスペクター(Ax)を用いたモルモット膝関節への遺伝子導入:LacZおよびTGF-β1遺伝子をそれぞれ組み込んだAxを、6週令Hartley系雌性モルモット5匹の右膝関節内に注射をした。1週間後、膝関節を採取し、X-gal染色を行った。肝臓、腎臓、心臓、および脳から抽出した全RNAを用いてLacZに対するPCRを行った。また、関節液中のTGF-β1濃度をELIZAで測定した。X-gal染色では、滑膜、靭帯、および軟骨においてLacZ遺伝子の発現を認めた。PCRでは、LacZ遺伝子の発現は検出されなかった。これらの結果から、関節内への遺伝子導入法としてAx法が有効であり、関節外臓器への影響が少ないことが判明した。また、TGF-β1遺伝子を関節内投与した関節液中のTGF-β1濃度は、コントロールと比べ約8倍と有意に増加していた。このことから、Ax法による関節内へのTGF-β1遺伝子導入が有効であることが明らかになった。 2.病態特異的ベクターの開発:HSP70プロモーターをもつLacZおよびTGF-β1遺伝子発現ユニットを挿入したAxを作製した。これらを用いて、平板培養したヒト軟骨細胞様細胞株に対して遺伝子導入を行った。2日後に温熱ストレス(43℃、2時間)を細胞に負荷後、X-gal染色およびNorthern blottingを行った。LacZ遺伝子を導入した細胞では、温熱ストレスによりLacZ遺伝子の発現が誘導された。またTGF-β1遺伝子を導入した細胞では、温熱ストレスにより、導入したTGF-β1遺伝子の発現が亢進した。これらの結果から、HSP70プロモーターをAx上の発現ユニットに用いることによって、軟骨細胞における導入遺伝子の発現制御が可能であることが明らかになった。
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