研究概要 |
平成9年度に引き続き,ラットの脳虚血・再灌流モデル(両側椎骨動脈焼十両側頸動脈結紮,中大脳動脈閉塞)を用いて以下の研究を行った。 1) 一酸化窒素産生に及ぼすダントロレンの影響 大脳皮質,海馬,線条体における一酸化窒素産生(酸化窒素分析システムで測定)がダントロレンで抑制された。平成9年度の研究結果(ダントロレンによる遅発性神経細胞死の抑制およびグルタミン酸放出の抑制)と合わせると,ダントロレンは虚血性脳障害を軽減させる作用があると考えられる。臨床的に使用されている薬剤故に,今後の臨床応用が期待できる。 2) 遅発性神経細胞死およびグルタミン酸放出に及ぼすプロポフォールの影響 新しい静脈麻酔薬であるプロポフォールの脳保護作用について検討した。プロポフォールは,海馬グルタミン酸放出をある程度抑制するが,海馬CA1領域の遅発性神経細胞死を抑制しない。 3) 遅発性神経細胞死に及ぼすアミノベンザミドの影響 Poly(ADP-ribose)polymerase(PARP)の活性化が神経細胞死に関与することが注目されている。PARPの阻害薬であるアミノベンザミドの脳保護効果について検討している。 4) 遅発性神経細胞死に及ぼすウリナスタチンの影響 虚血と炎症の関連が注目されている。プロテアーゼインヒビターであるウリナスタチンの脳室内投与の脳保護効果について検討している。 その他,遺伝子トラップ法で海馬CA1領域に比較的特異的に発現する遺伝子を発見した。
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