研究概要 |
Alpha2作動薬であるdexmedetomidine(DEX)は多くの利点を有する麻酔薬であるが、その副作用をなくすためには受容体特異性やサブタイプ選択性の高いα2作動薬を作る必要があり、そのためにはDEXの結合部位が存在するTMDや結合部位そのものを明らかにしなくてはいけない。pGEM3Z vector上のmulticloning siteに挿入された ヒトα2A及びβ2 adrenergic receptor を用いた。7つある細胞膜貫通領域(TMD)のいくつかがそれぞれα2Aとβ2のadrenoceptorからなるchimeric receptorを8つrecombinant DNA techniqueを用いて作った。これをCOS7 cellにDEAE dextranを用いてtransient transfectionし、そのcell membraneを使ってDEXのbinding assayを行いKi値を求めた。この結果、DEXはα2A adrenoceptor上のTMD#2,6,7に結合部位を有していることが判明した。 さらにPCRによりpoint mutationを行ったmutant receptorを作成し結合部位を同定するべく実験を行った。β2 adrenoceptorを用い、この細胞膜貫通領域(TMD)の第2、第6の細胞膜外側3分の1のアミノ酸をそれぞれ1つずつ対応するα2A adrenoceptorのアミノ酸に換えたmutant recetorを作成した。これらmutant receptorのDEXに対するKi値はwild type β2 adrenoceptorのそれと変化なかった。 以上よりDEXの結合部位は、TMD#2,6,7にあり、その結合アミノ酸はTMDの内側3分の2に存在すると考えられる。
|