1.方法:実験動物を5群にわけ、それぞれ心拍数、平均動脈圧、中心静脈圧、肺抵抗、動肺コンプライアンスを測定した。実験群1:ショックモデルに生理食塩水およびエンドセリン(50ng/kg)を投与した;実験群2:エンドセリン-A受容体抑制薬BQ-610(200μg/kg)とエンドセリン(50ng/kg)を投与した;実験群3:BQ-610(200μg/kg)と生理食塩水を投与した;実験群4:生理食塩水と抗原を投与した;実験群5:BQ-610(200μg/kg)と抗原を投与した。 2.結果:実験群1と2より、エンドセリンに対するBQ-610(200μg/kg)の作用としては、心拍数、中心静脈圧、動肺コンプライアンスには影響を与えなかったが、平均動脈圧と肺抵抗は減少させた。実験群3より、BQ-610(200μg/kg)のみでは循環および呼吸機能に影響を与えなかった。抗原を投与してアナフィラキシーショックを惹起せしめた実験群4と5の結果は、心拍数、平均動脈圧、動肺コンプライアンス、肺抵抗とも2群間に有意差が見られなかった。中心静脈圧はBQ-610投与群で、抗原投与15分後のみ有意に低下した、その他の時点では、BQ-610投与群が低い傾向ではあったが、有意差は見られなかった。 3.結論:脊椎動物においては、エンドセリンET_A受容体は主に血管収縮に関与している。エンドセリンET_A受容体はアナフィラキシーショックの病態形成に大きな役割をしていないことを明らかにできた。
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