研究課題/領域番号 |
09470341
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
木原 和徳 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (40161541)
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研究分担者 |
影山 幸雄 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10211153)
石坂 和博 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (60168218)
佐藤 健次 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (20107246)
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キーワード | 自律神経 / 再建 / 性機能 / 排尿機能 |
研究概要 |
腹部骨盤部の自律神経損傷の再建法の開発の研究において平成9年度は以下の結果を得ている。1)自律神経縫合による機能の回復 下腹神経は切断しても縫合することにより精管内精子輸送(精管内圧の上昇)、内尿道口の閉鎖、前立腺の収縮機能が回復することをすでに確認していたが、イヌにおいて、この下腹神経を通過する脊髄中枢からのシグナルの再建を詳細に検討した。脊髄から両側の腰内蔵神経、下腹神経を経て両側の精管にいたる神経シグナルは下腸間膜動脈神経叢と、左右の骨盤神経叢間神経枝とで2重に交叉しており、従って一本の腰内蔵神経から4種のシグナルが精管にいたることになるが、これらの4種のシグナルはいずれも上記手術で再建されているという結果を得た。また、骨髄から下腹神経を経て前立腺、内尿道口に達する交叉性のシグナルも再建されていることが判明した。これらの結果は本年4月にJournal of Neurosurgeryに掲載される。一方、両側の下腹神経を切除し(2cm)、縫合せずに4年経過したイヌでは上記の神経シグナルが頻度は低いが自然再建されるという結果を得た。骨盤神経においてもその切断、縫合により骨盤神経経由の膀胱へのシグナルが再建されるという結果を得た。2)自律神経欠損部に対する他の神経による補填 骨盤神経の欠損部に下腹神経の一部を補填する手術をイヌを用いて行っており、骨盤神経経由の膀胱への神経シグナルが再建されるか検討中である。3)切断した自律神経の他の神経との縫合 イヌを用いて、切断した下腹神経の中枢側と切断した骨盤神経の末梢側を縫合し、下腹神経経由のシグナルが骨盤神経を経て膀胱に達するか検討した。この手術により、腰内蔵神経から下腹神経を経た交感神経のシグナルが骨盤神経を経て膀胱に達するという結果を得た。
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