研究課題/領域番号 |
09470345
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 潤 京都大学, 医学研究所, 教授 (50173430)
|
研究分担者 |
松田 公志 関西医科大学, 医学部, 教授 (20192338)
東辻 宏明 京都大学, 医学研究科, 助手 (60281094)
金子 嘉志 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252465)
伊藤 克彦 京都大学, 医学研究科, 講師 (90281097)
|
キーワード | 熱ショック / 精子 / 不妊症 / 低温ショック / RNA結合蛋白質 / 停留精巣 / cirp / apg-1 |
研究概要 |
哺乳類精子形成細胞の示す特異な温度感受性の分子機構を解明し、不妊症治療・避妊や癌治療へ応用することを目標に、マウス精巣内でで32度と37度Cで発現量の変化する遺伝子の分子クローニングを試みた。その結果、32度から37度C以上へ温度をあげると発現の亢進する新しい熱ショック蛋白遺伝子apg-1を見出した。apg-1は、殆どの体細胞で熱ショック応答を示すが、精子形成細胞では恒常的に発現しており熱ショック応答を示さなかった。さらにapg-1類似遺伝子apg-2精巣からクローニングしたが、熱ショック応答は見られなかった。一方、37度から32度Cへ温度を下げると発現の亢進する遺伝子として、動物で初めての低温ショック蛋白を見出し、cirpと命名した。cirpはRNA結合蛋白で、体細胞の温度を下げるとその転写物及び蛋白の発現が亢進した。アンチセンスオリゴヌクレオチドでcirpの発現を抑制すると、低温による体細胞分裂の抑制が解除され、常温で発現亢進させると細胞周期のG1でブロックされたことから、体細胞分裂の抑制物質であることが示された。精子形成細胞では分化の段階において発現レベルの制御がみられ、温度感受性の細胞では高発現であった。そこで、実験的にマウスに停留精巣を作製したところ、早期に発現レベルの低下が認められた。臨床的にも、停留精巣では、精子形成細胞におけるcirp発現レベルの低下が認められた。ヒトのcirp遺伝子をクローニングし、染色体上の位置を決定した。cirp類似のRBM3遺伝子がやはり低温ショック蛋白であることを見出した。これらの蛋白に対して、それぞれ抗体を作製し解析中である。
|