研究課題/領域番号 |
09470348
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
執印 太郎 高知医科大学, 医学部, 教授 (80179019)
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研究分担者 |
大野 茂男 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10142027)
降幡 睦夫 高知医科大学, 医学部, 助手 (10209158)
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キーワード | VHL癌抑制遺伝子 / 細胞接着 / vinculin / 胚細胞変異 / atypical protein kinase cλ |
研究概要 |
我々はヒト肺がん細胞株99にVHL癌抑制遺伝子を導入し、それを一定の薬剤(muristerone)でのみ誘導できる細胞株99VHLを用いてVHL蛋白の発現による細胞骨格蛋白の変化と細胞形態の変化を観察した。この細胞株は誘導がかかっていないとWestern blotでVHL蛋白は全く発現していない。その結果、muristeroneでVHL蛋白が誘導された細胞は細胞の表面積が拡大し、接着面が増加した。また、細胞接着蛋白の1つであるvinculinがその細胞内の量は変化しないが、接着面で増加した。その際に、actinfiberが増加し、再重合がみられた。この変化により細胞の移動性が減少した。これらの変化より、VHL蛋白は細胞接着に関与する蛋白群を変化させてその結果により細胞の可動性を減少させると考えられた。 もう1つの試みとして、世界のVHL病患者の胚細胞変異を検討し、その特徴を探り、その結果、exon3のElongin Cの結合部位を含め4カ所の胚細胞変異のホットスポットが明らかになった。即ち、exon 1の中間部、exon 1と2の移行部、exon 2の中間部、exon 3の先頭部である。我々は同時にVHL蛋白とatypieal protein kinase Cλ(aPKCλ)の結合部を同時に検討していたが、偶然,aPKCλはexon1と2の移行部の胚細胞変異のホットスポットと一致する事が明らかとなった。またこの部分はVHL蛋白の構造上のbeta-domainに位置し、VHL蛋白がユビキチン化により分解する蛋白の1つがaPKCλであることが示唆され、VHL蛋白はatypical protein kinase Cλの分解を通して細胞増殖を抑制していることが明らかとなった。
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