研究概要 |
1)血管新生因子チミヂンホスホリラーゼと膀胱癌との関係を臨床病理学的に検討した.膀胱癌組織中のチミヂンホスホリラーゼ活性は正常組織よりも癌組織で有意に高値であった.また,細胞異型度や病期とも相関した.多変量解析では,チミヂンホスホリラーゼの過剰発現は独立した予後規定因子であった. 2)血管新生因子チミヂンホスホリラーゼ,VEGF,血管密度と精巣腫瘍のリンパ節転移との関係を検討した.チミヂンホスホリラーゼは間質細胞に強く発現したが,腫瘍細胞には発現していなかった.VEGFと血管密度は精巣腫瘍の転移を予知する独立した因子であった. 3)膀胱癌組織におけるシクロオキシゲナーゼの発現を検討した.シクロオキシゲナーゼ1は正常移行上皮や癌細胞には発現せず,筋肉組織のみに発現したことから,勝胱癌の発癌には重要でないと思われた.一方,シクロオキシゲナーゼ2は正常移行上皮ではなく癌細胞に特異的に発現した.表在癌よりも浸潤癌に有意に多くの症例で発現した.また,浸潤癌の前病変である上皮内癌にも高率に発現したことから,シクロオキシゲナーゼ2は膀胱癌の発癌に関与すると考えられた. 4)膀胱癌の転移関連遺伝子メタネスチンを膀胱癌細胞に導入するための発現ベクターを作成した.COS細胞に導入したところ目的の60KDaの蛋白を発現することを確認した.
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