研究課題/領域番号 |
09470354
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
井上 正樹 金沢大学, 医学部, 教授 (10127186)
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研究分担者 |
京 哲 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (50272969)
笹川 寿之 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (30272975)
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キーワード | 産婦人科腫瘍 / テロメラーゼ / テロメア / TRAP法 / hTRT / 遺伝子治療 |
研究概要 |
テロメラーゼは染色体末端に働き、テロメアを伸長させる働きを持つRNAと蛋白の複合体酵素であるが、PCRを利用した極めて感度の高いテロメラーゼ酵素活性の測定法が開発された(TRAP法)。我々は、このTRAP法に改良を加え、より簡便で感度の高いNon-RI TRAP 法を考案した。この方法により、婦人科腫瘍ののテロメラーゼ活性を測定した結果、子宮頚部癌、子宮体部癌、卵巣癌の臨床検体では90%に高いテロメラーゼ活性を認めた。一方、正常組織からは活性は検出されなかった。前癌病変である頚部異形成、卵巣境界悪性、には30-40%に中程度の活性を認めた。子宮内膜に関しては、分泌期や閉経後では活性は認めないが、増殖期正常内膜では癌と同等の活性を認めた。テロメラーゼ活性は癌特異的ではなく、細胞増殖と関連すると推測された。 テロメラーゼはRNAと幾つかの蛋白との複合体からなる酵素である。中でも最近遺伝子がクローニングされたhTRT蛋白の発現、M-RNAの発現はテロメラーゼ活性と極めて高い相関があることを見いだし、現在この遺伝子の上流域の遺伝子解析を進行中である。これにより、テロメラーゼ調節機構の解明を当時に遺伝子制御物質の発見も可能となる。 遺伝子導入実験に関しては、テロメラーゼ蛋白遺伝子の一部のみがクローニングされたにすぎず、先ずはテロメラーゼ活性と極めて相関の高いhTRT蛋白の制御因子の解析が先決と考えている。一方では、子宮癌細胞に癌抑制遺伝子導入によりテロメラーゼ活性が低下することも観察してる。
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