研究概要 |
従来よりテロメレースは3つのサブユニット(hTR: human telomerase RNA, TPl:telomerase associated protein ,hTERT:human telomerase reverse transcriptase)から構成されることが知られていたが、このうちどれが酵素活性の決定因子なのか不明であった。我々は、臨床材料を用いてhTERTが酵素活性を担う因子であることを明らかにした。さらに、このhTERT遺伝子の発現調節に注目し、hTERT遺伝子のプロモターのクローニングを世界に先駆け成功させた。hTERTプロモターの転写活性が癌細胞でのみ存在することが明らかとなった。したがって、アデノウイルスベクターにhTERTプロモターを導入し下流に治療遺伝子を連結させ、がん細胞に効率良く発現させるベクターを開発した。これを用いた遺伝子治療の動物実験モデルでは抗腫瘍効果が認めた。さらに、テロメラーゼ活性の制御機構の解明を行った。C-mycがhTERTプロモターと直接結合し、テロメラーゼ活性を上げること、エストロゲンが を介する経路以外にhTERTプロモターに直接結合してテロメラーゼ活性を上げることを発見した。これら転写因子の解明はテロメラーゼを用いた遺伝子治療に極めて重要である。
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