研究課題/領域番号 |
09470356
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
玉舎 輝彦 岐阜大学, 医学部, 教授 (70079870)
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研究分担者 |
藤本 次良 岐阜大学, 医学部・附属病院, 講師 (80199372)
今井 篤志 岐阜大学, 医学部, 助教授 (40193643)
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キーワード | エストロゲン受容体 / スプライシング・バリアント / プロゲステロン受容体A型 / プロゲステロン受容体B型 / 受容体発現異常 / GnRH受容体 / Gタンパク / 女性生殖器腫瘍 |
研究概要 |
女性生殖器癌の発生、増殖および進展に、以前よりエストロゲンや最近では内分泌攪乱物質の関与が注目されている。この点を女性生殖器癌の癌細胞が有する特異性より理解するため、近年新たにクローニングされたエストロゲン受容体(ER)βと従来のERαとの関連を解析するため、同時に発現様式を検討した。ERα mRNAに比したERβ mRNAの発現比は正常卵巣では安定しており1.5から10%であったが、卵巣子宮内膜症や卵巣癌においては広く分布し、比が正常域を越えた卵巣癌症例では著しく予後が悪かった。また、子宮内膜癌の転移巣においても同様のことがわかった。したがって、ERβとERαの協同的作用が正常から逸脱することと腫瘍性病変の進展と密接な関連があると推察された。 手術的に摘出したGnRH受容体陽性腫瘍(子宮内膜癌、卵巣癌)にGnRH mRNAが存在し、その塩基配列からGnRHIであることが明らかになった。また、細胞内および培養液中のGnRH様ペプチドを、トリシン-ポリアクリルアミド法で電気泳動後immunoblottingで分析したところ、細胞質画分には分子量の10kDaのプレプロGnRH、7.6kDa(プロGnRH)、および1.1kDa(GnRH)が検出された。しかし、GnRH受容体陽性腫瘍の培養液中には、10kDa(プレプロGnRH)および7.6kDa(プロGnRH)、1.1kDa(GnRH)が認められた。コントロールとして用いた絨毛細胞の培養液には1.1kDaのGnRHIのみが存在した。つまり、卵巣癌や内膜癌細胞ではGnRHの前駆ペプチドからGnRHへの成熟過程が障害されていることが示唆された。GnRHIはデカペプチドとして分泌されて作用を発揮するが、腫瘍細胞ではプレプロGnRHやプロGnRHが分泌され、GnRH受容体を占有することが推定される。
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