研究課題
早産の背景には、オキシトシン受容体の早期発現の存在、受容体分子構造の変化によるオキシトシン過敏症、細胞内シグナル伝達系の異常によるオキシトシン過敏症等の存在を仮定することができる。今年度我々は先づオキシトシン受容体の構造変化がオキシトシン過敏症や過剰発現につながるかを検討するため、同受容体N末端の糖鎖修傷部位に人工的に点突然変異を導入しその変化をみた。すると、点突然変異体を発現させても、野生型の場合と同じmRNA量、蛋白量、オキシトシン結合量および、オキシトシンに対する親和性を示し、この部分の変異はヒト早産の遺伝的背景となりえないことがわかった。また、ヒト培養子宮筋細胞を用いて、オキシトシンの培養液の添加に際する脱感作現象の機構を解析したが、一次培養に用いた個人間の差がなく12〜24時間で脱感作が成立し、更に遺伝子発現レベルもこれに一致して低下していた。したがって早期産において脱感作ができないことによるオキシトシン過敏症の存在の可能性も低いと考えられた。これらの知見を通じて更に臨床検体での早産例の遺伝的背景の解析をすすめていく計画である。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)