研究課題/領域番号 |
09470360
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三宅 侃 大阪大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90093468)
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研究分担者 |
田坂 慶一 大阪大学, 医学部, 講師 (50155058)
倉智 博久 大阪大学, 医学部, 講師 (40153366)
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キーワード | 細胞外マトリックス / インテグリン / プロモーター / 転写制御 / MAPキナーゼ系 / JAK-STAT系 / 増殖因子 / サイトカイン |
研究概要 |
トロホブラスト細胞が母体の子宮内膜に浸潤することで着床が成立するが、これは妊娠に必須であるばかりでなく、トロホブラスト細胞が癌細胞にも匹敵する強い浸潤能を有し、しかもこの浸潤能が厳密に制御されていることは生物学的に興味深い現象である。このトロホブラストの浸潤能には細胞外マトリックスであるintegrinとくにα5-およびα1-integtinが重要な役割を果たしている。一方、増殖因子の1つである上皮成長因子(EGF)やサイトカインのうちleukemia inhibitory factor(LIF)やIL-6など、さらにそれらの細胞内情報伝達機構であるMAP kinase系、JAK-STAT系が着床に重要な役割を演じていることも知られている。これらのデータから、増殖因子からサイトカインなどが、トロホブラスト細胞に存在する上記の情報伝達系を通じてα5-,α1-integrinの発現を制御する可能性が考えられる。我々は、α5-integrin遺伝子プロモーターにinciferase遺伝子をreporterとして接続し、BeWo細胞に安定導入した。この細胞を用いて、着床を促進する作用から、α5-integrin遺伝子発現を促進すると思われるEGFや、逆にこれを制御すると思われるTGF-βの転写調節を検討した。EGFはα5-integrin遺伝子の転写を促進したが、TGF-βには有意な作用がみられなかった。EGFの促進作用はSTAT3を同時に発現させると大幅に増強され、STAT3がα5-integrin遺伝子の転写促進に重要であることも示唆された。しかしながら、EGFの転写促進作用はdominant negative STAT3やMAP kinase系の抑制剤で阻害されなかった。この事実はEGFの作用はMAP kinaseあるいはJAK-STAT系以外の情報伝達経路を通じたものであり、またSTAT3に作用する因子(ligand)はEGF以外の因子であることを示唆する。今後、EGFの情報伝達機構とSTAT3のligand(s)の検討をさらに進めていく予定である。
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