研究課題/領域番号 |
09470362
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
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研究分担者 |
西田 純一 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (40264113)
加藤 聖子 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (10253527)
加藤 秀則 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (60214392)
松田 貴雄 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (10304825)
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キーワード | endometrial cancer / tumor supppressor gene on 1q / cell senescence / Ras / ER / DPC4 / DCC / cyclin G |
研究概要 |
1) 1番染色体の子宮体癌抑制遺伝子の単離:60例の子宮体癌について1q上のLOH解析を行った結果、抑制遺伝子は1q42領域に存在すると判明した。1q42領域をカバーするBACコンティグを得、子宮体癌細胞へトランスフェクトした結果、特定のBACクローンに子宮体癌抑制機能があることが判明した。現在BACクローンから候補遺伝子cDNAを単離している。 2) 子宮体癌発生におけるエストロゲンリセプター(ER)の関与:NIH3T3細胞へ変異型K-Rasを導入するとERの機能的活性化を介して細胞はトランスフォームする。このため、ERのdominant negative変異体を変異型K-Ras発現細胞へ遺伝子導入した。その結果、細胞は大型化、多核化、平坦化し、βーGal染色陽性細胞の出現が誘導された。これらの形質の発現はER変異体により細胞老化が誘導されたためと解釈された。細胞老化の誘導はp53-p21発現の増大を伴っていた。このため、ER-p53経路はRas下流で細胞老化を回避していると示唆された。 3) 子宮体癌で認められる18qLOHは、DCC及びDPC4遺伝子両方の不活化に関与していた。DP4遺伝子プロモーター変異を子宮体癌で観察した。このため、DPC4遺伝子は18q欠失及び残存アリルプロモータ変異により不活化され、子宮体癌の発生に関与すると示唆された。DCC遺伝子導入により子宮体癌細胞の造腫瘍性は失われ、アポトーシスによる細胞死が誘導された。子宮体癌細胞におけるDCC遺伝子不活化は癌細胞のアポトーシス回避に機能することが示唆された。
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