摘出した血管条、ラセン靭帯、外側壁上皮細胞に細胞内Ca2+、Na+、pH色素を負荷し細胞外のイオン組成を変えることによって種々の輸送体蛋白系(Naポンプ、Na-Ca交換輸送、Na-H交換輸送、Cl-HCO3交換輸送、Na-K-Cl共輸送)を活性化して、共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いた顕微画像解析装置により測定し輸送体蛋白の局在が証明された。またATPを初めとする各種の神経伝達物質を投与し、受容体蛋白との関連を検討した。 これらの細胞生理学的手法によって機能の発現が同定された輸送体蛋白の一次構造からdegenerate PCRプライマーを設計した。内耳の外側壁上皮からmRNAを抽出してcDNAを作製し、RT-PCRを行った。PCR産物の塩基配列をDNA塩基配列解析装置により求め、Na-Ca交換輸送、Na-H交換輸送、Na-K-Cl共輸送を内耳からクローニングした。さらに、そのcDNAプローブよりcRNAプローブを作製して、蝸牛においてNa-H交換輸送、Na-K-Cl共輸送の局在をin situhybridizationによって同定した。
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