研究概要 |
1 RSウイルスのGあるいはF糖蛋白遺伝子を組み込んだリコンビナント・ワクチニアウイルス(G・rVV,F・rVV)を皮内接種し、3週間後にRSウイルスの経鼻接種を行なったBALB/cマウスでは、気道にリンパ球,好酸球浸潤を中心とした強い炎症反応,ならびにTh1,Th2サイトカインの高い産生が、対照としたコントロールワクチニア・ウイルスを接種したマウスに比較して認められた。一方、G・rVVあるいはF・rVVを腸管内接種あるいは鼻腔接種後にRSウイルスの接種を施行したマウスでは、炎症反応の軽減と、Th2サイトカイン産生の抑制が認められた。また、rVVの鼻内接種を行なっておいたマウスでは、肺のみならず、鼻粘膜においてもRSウイルスの著しい増殖抑制が認められた。 2 アミラーゼのプロモーターを利用して作製されたIL-10トランスジェニックマウス(IL-10TGマウス)の鼻粘膜でのIL-10の発現を検討したところ,IL-10遺伝子の強い発現と、器官培養にて高いIL-10蛋白の産生が認められた。抗IL-10抗体を用いた免疫染色では、鼻腺細胞に強い陽性細胞を認めた。これらIL-10TGマウスにRSウイルスの経鼻接種を行なったところ、対照とした非トランスジェニックマウスに比較して、肺・鼻粘膜いずれにおいてもRSウイルスの有意な増殖抑制が認められなかった。一方、気道局所でのサイトカイン産生には有意な差は認められなかった。ウイルス増殖抑制の機序について検討を進めている。
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